Chapter 637
高橋美咲、高橋グループ復帰へ
高橋彩花はさっき少し席を外して、高橋玲奈に高橋美咲を追いかけるよう仕向けていたばかりで、ほんの数秒だけ優越感に浸っていた。
なんてこと!
もし高橋美咲が戻って高橋グループに入ったら、自分の立場が脅かされるのでは?
絶対にダメ!何が何でも高橋美咲を追い出さなければ。絶対に高橋グループに入れさせてはならない!
高橋良子は、高橋花や高橋彩花に対抗してくれる人が現れるのを待ち望んでいた。
それに、高橋美咲が入る高橋グループは、実際には本当の高橋グループではなく、高橋正人のジュエリー会社だった。
自分の立場には何の影響もないし、むしろ高橋美咲と高橋彩花が争う様子を高みの見物できる。こんな面白いことはない。
そう思った高橋良子は、「お父さん、私も美咲が高橋グループに戻るのは賛成よ。美咲は高橋家を離れていた間、本当に大変だったの。外でずいぶん苦労したみたい」と励ますように言った。
「もし美咲が可哀想だと思うなら、マネージャーにしてあげたら?美咲と彩花を同じ立場にすれば、公平じゃない?」
高橋花はもう黙っていられず、すぐに「マネージャーなんて簡単になれるものじゃありません。学歴だけじゃなく、部門をまとめる力も必要です。美咲がいきなりマネージャーになったら、納得しない人もいると思います」と口を挟んだ。
高橋花の言葉を聞いて、高橋良子は冷笑した。
どうやら高橋花は昔美咲を追い出してから、その後のことには全く関心がなかったらしい。高橋美咲が今、九条インターナショナルでマネージャーをしていることも知らないのだろう。
九条インターナショナルは九条ホールディングス傘下で、高橋家にも引けを取らない会社だ。
高橋良子はにやりと笑い、「もし昔、美咲を追い出していなければ、今ごろマネージャーの座は美咲のものだったかもね」と言った。
その言葉を聞いた高橋花は完全にキレて、「ふざけないで!私がいつ美咲を追い出したっていうの?美咲が自分から出て行ったんでしょ!」とすぐに言い返した。
高橋良子はさらに皮肉を込めて、「お義姉さん、継母だからって美咲に無関心でいいってわけじゃないわよ。でも会社に入るのを邪魔する権利はないでしょ。美咲は今、九条インターナショナルのマネージャーよ。九条家の会社に、能力のない人が入れると思う?」
その言葉を聞いて、周囲の人々はみな高橋美咲に驚きの視線を向けた。
「高橋美咲さん、九条インターナショナルで働いてるの?それならかなり優秀なんだね」
「そうだよ、九条インターナショナルって簡単に入れる会社じゃないし、学歴以外の基準も厳しいって聞いたよ」
「それならマネージャーになる資格は十分あるよ。それに高橋美咲さんは高橋家の人間なんだから、身内なら多少は条件を緩めてもいいんじゃない?なんで本当の採用試験みたいにするの?」
「高橋花さんは継母でしょ。継母ってたいてい前妻の子を嫌うものよね」
「はあ、心が狭すぎるわ!」
「えっ?」
高橋花は目を見開き、まるで信じられないものを聞いたかのように驚愕した表情を浮かべた。
高橋美咲が家を出てから、ずっと貧乏で苦労していると思っていた。まさか九条ホールディングスでマネージャーになっているなんて、誰が想像しただろう。
世間体のために、彼女はいつも高橋美咲を自分の娘のように優しく接してきたふりをしていた。それなのに、高橋美咲が会社に入ることで、そのイメージが台無しになりそうだった。
彼女は悔しそうに拳を握りしめた。
その時、腕に手が絡まり、高橋彩花がにっこりと微笑みながら言った。「お母さん、美咲が仕事をうまくやれるか心配してるだけでしょ?みんなが誤解しちゃっただけだよ。私も美咲が会社に来てくれたら嬉しいな。一緒に働けるし。」
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