Chapter 631
高橋美咲を呼び出す時が来た
高橋花と高橋彩花は端の方へ移動した。高橋彩花は不安げに「お母さん、本当にあのクソ女・高橋美咲は戻ってこないの?今、お父さんが高橋家の継承であれだけ反発を受けてるのも、うちのジュエリー会社が支えてるからでしょ。もし戻ってきたら……」と口にした。
高橋彩花がそう心配するのも無理はなかった。あの時、高橋美咲をあまりにも容赦なく追い詰めてしまったのだから。
今や彼女は自分たちの味方ではない。もし戻ってきたら、家の財産を奪いに来るに違いない。
その時に高橋正人のジュエリー会社の半分でも持っていかれたら、高橋家での立場は完全になくなる。最悪、最後には全てを失うかもしれない。
今の地位を築くためにどれだけ苦労したことか。それを高橋美咲にタダで渡すなんて、絶対に納得できない。
全てを手放すことを考えるだけで、高橋彩花はどうしようもなく理不尽な気持ちになった。
高橋正人が高橋家の事業を継ぐことになったため、すでにいくつかの業務を先に引き継ぎ、祖父と一緒に学んでいた。そのため、会社の経営は彼女に任されていた。
今や彼女はジュエリー会社のマネージャーとして、全てを取り仕切っている。
もし本当に高橋美咲が戻ってきて取り分を要求されたら、怒りで気が狂いそうだ。
あの時、もっと徹底的にやっておけばよかった。もし出ていく時に高橋美咲を殺しておけば、今さら心配することもなかったのに!
高橋花の目が険しくなり、歯を食いしばって「心配しなくていいわ。あの子は出ていく時、二度と戻らないってはっきり言ったのよ。あの子は意地っ張りだから、今さら恥を忍んで戻ってくるなんて絶対にない」と言った。
ようやく二人は少しだけ安心した。
時が経ち、誕生日の宴も佳境を迎え、ますます賑やかになっていった。
それを見て、高橋良子は「今こそ高橋美咲を呼び出す時だ」と思った。
すぐに高橋莉良を呼び、高橋美咲を連れてくるように言いつけた。
この瞬間をずっと待っていたのだ。
高橋莉良は、実は高橋彩花のことが前から大嫌いだった。ついに彼女が転落する瞬間が見られる。高橋美咲が現れた時、高橋彩花がどんな顔をするのか楽しみで仕方がない。
そう思いながら、高橋莉良は急いで階下へ高橋美咲を迎えに行った。
控室の中。
高橋美咲と九条蓮はまだそこに座っていた。高橋莉良が入ってくると、思わず九条蓮に視線を留めた。まさか高橋美咲がこんなイケメンを連れてくるとは。どんな素性なのか気になった。
でも、たとえ大した家柄でなくても、あの顔立ちだけで誰もが惚れ惚れするだろう。
高橋莉良が九条蓮をじっと見ているのに気づき、高橋美咲はわずかに眉をひそめた。
「もう出ていいの?」と声をかけた。
高橋莉良はすぐにうなずいた。「うん。お母さんが二人を呼んでって。今みんな外にいるから、ちょうどいいタイミングよ。」
高橋美咲は立ち上がり、「わかった」と答えた。
少し考えてから、九条蓮に向き直って「しばらくここで待っててくれる?もし必要になったら呼ぶから」と言った。
九条蓮は心配そうに高橋美咲を見つめた。
高橋美咲が高橋家で全く立場がないことを知っている。彼女が一人で親族たちと向き合うのは、本当に心配だった。
九条蓮が高橋美咲を心配しているのと同じくらい、高橋美咲も九条蓮のことが心配だった。
九条蓮は九条家で最も優秀な男性だが、もし一緒に現れて高橋家の人間に知られたら、今度は彼に媚びを売り始めて、うんざりするほど面倒になるだろう。
ここまで一緒に来てくれただけで、十分に心強かった。
これ以上、彼に嫌な思いをさせたくなかった。
結局、高橋美咲が強く主張したため、九条蓮は控室に残り、彼女が戻るのを待つことになった。
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