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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 623 - 自分を買いかぶりすぎじゃない?

Chapter 623

自分を買いかぶりすぎじゃない?

「お母様が交通事故で亡くなった後、高橋花があなたを追い出して、生活費も全部断たれた。あなた、本当にこのまま黙ってお母様の遺した事業を奪われるつもり?」

高橋美咲はそっと目を伏せた。

本当は、黙って見ているつもりはなかった。でも、あの頃は自分に力がなかったし、高橋花は全盛期で父にも寵愛されていた。どうにもできず、逃げるしかなかったのだ。

高橋美咲が少し心を動かされたのを見て、高橋良子は手応えを感じた。

高橋良子は口元を上げて続けた。「あなたも今は順調じゃない。九条インターナショナルは九条ホールディングスの傘下だけど、結局は他人の会社で働いているだけ。叔母さんの言うことを聞いて、実家に戻りなさい。今回のお祖父様の誕生日を利用して、しっかりご機嫌を取るのよ。そうすれば、きっと大旦那様もあなたを気に入るはず。」

高橋良子の言葉を聞いた高橋美咲は、しばらく黙り込んだ。

本来ならもう高橋家に近づくつもりはなかった。でも、叔父や叔母から母の持ち株を取り戻すよう何度も言われてきた。高橋彩花や継母にただで渡すわけにはいかない。

それなら、この機会に戻ってみよう。

少ししてから、彼女はうなずいて言った。「分かった。帰るよ。」

高橋良子は満面の笑みを浮かべた。やはり高橋美咲は諦めていなかったのだ。

「あ、そうだわ。」何か思い出したように高橋良子が付け加えた。「今回のお祖父様の誕生日は盛大にやるらしいわよ。高橋彩花がわざわざ紫雲先生に頼んで、睡眠香を調合してもらったんですって。紫雲先生、知ってる?」

「知ってる。」

高橋美咲はうなずいた。

紫雲先生は大阪でも有名な調香師で、多くの富裕層に人気がある。ただ、その地位の高さと、毎日調合できる数が限られていることから、なかなか手に入らない。お金だけではどうにもならない品だ。

まさか自分が去った後、高橋彩花の地位がそこまで上がっていたとは。

紫雲先生に依頼できるなんて。

高橋美咲は心の中で静かにため息をついた。

きっと自分がいなくなった後、高橋彩花が高橋グループを掌握し、得意満面なのだろう。今回お祖父様に気に入られ、来賓の前で注目を集めれば、今後ますます大旦那様に重用されるはず。高橋良子がわざわざ大阪から来たのも納得だ。

まさに今が正念場なのだ。

高橋美咲が紫雲先生を知っていると聞いて、高橋良子の心配も少し和らいだ。

「美咲、今の高橋グループは高橋彩花の思い通りよ。このままあなたが戻らなければ、いずれ高橋家は全部あの子のものになる。だから今回は絶対に戻って、あの子を徹底的に叩きのめしてやりなさい。」

表向きは高橋美咲のためのように言っているが、実際は自分と娘の高橋莉良のためだ。

高橋美咲に高橋良子の思惑が見えないはずもない。

彼女の口元には淡い笑みが浮かぶ。時には利用されるのも悪くない。本当に高橋彩花と決着をつけるつもりだった。

「じゃあ、私はこれで帰るわ。しっかり準備して、特に大旦那様への誕生日プレゼントは絶対に手を抜かないでね、分かった?」

そう言い残して、高橋良子はバッグを手に立ち去った。

高橋美咲はオフィスに戻った。今一番頭を悩ませているのは、お祖父様への誕生日プレゼントをどうするかだった。

高橋彩花を上回るのは簡単じゃない。紫雲先生よりすごい人なんて、どこで探せばいいのか。

高橋美咲は一日中悩み続けても、結局何も思いつかなかった。

仕事が終わった夕方、九条家の専属運転手が会社の下まで迎えに来て、高橋美咲は車のドアを開けて乗り込んだ。

九条蓮の正体が明らかになってからは、九条家の専属運転手が送り迎えしている。

そして、代官山パークレジデンスから九条家本邸へと引っ越していた。