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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 621 - 婚姻届、出しに行こうか(続き)

Chapter 621

婚姻届、出しに行こうか(続き)

神谷海斗は自分の立場を使い、特別な窓口を利用して、営業時間後の短時間で九条凛と婚姻届を提出した。

最後に九条凛が手にした小さな赤い冊子を見つめても、まだ夢の中にいるようだった。たった一度会って食事をし、婚姻届を出しただけ。

これって……史上最速の見合い結婚じゃない?

まさか自分が本当に既婚者になるなんて!九条凛は「神谷夫人」になったのだ。

九条凛がその現実に驚いていると、神谷海斗が言った。「まずは2日間、慣れる時間をあげる。荷物をまとめて、週末に迎えに行くよ。」

九条凛はすぐに察した。もう結婚したのだから、一緒に住むのが当然だ。

顔が静かに赤くなる。

お互い必要なものだけの関係で、何かあるわけじゃないと分かっていても、男性と同じ屋根の下で暮らすなんて、やっぱり実感が湧かない。でも、神谷海斗が数日猶予をくれたのはありがたかった。],

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九条凛は新しい身分を手に入れ、高橋美咲の生活も元通りの平穏を取り戻していた。その日、美咲が仕事をしていると、一本の電話がかかってきた。

スマートフォンの画面に表示された発信者名を見て、美咲は一瞬固まった。

電話の相手は高橋家の親戚だった。高橋美咲にとっては叔母にあたる人物だが、美咲は長い間高橋家と距離を置いていたため、過去の人や出来事とはほとんど縁が切れていた。

心の中の思いを抑えながら、美咲は画面をスワイプして電話に出た。「もしもし、叔母さん。」

「美咲、今あんた東京の九条インターナショナルで働いてるんだって?今ビルの下にいるから、すぐ降りてきなさい。」

高橋良子のあまりにもぶっきらぼうな口調に、美咲の表情がわずかにこわばった。

高橋良子が何の用で自分に会いに来たのか、美咲は少し気になった。そもそも高橋良子と美咲は特別親しい間柄ではなかった。

今の高橋家の状況は少し複雑だった。

美咲の祖母はかなり早くに亡くなり、その後、高橋家の祖父は別の女性と再婚した。継祖母にも息子と孫がいて、高橋グループの家族構成はかなり入り組んでおり、一族は常に水面下で争いを繰り広げていた。

高橋家の祖父には子どもが4人おり、高橋家は祖父が取り仕切っていた。4人は高橋家の財産を巡って、表でも裏でも絶えず争っていた。

その後、高橋正人が高橋恵と結婚し、高橋グループという宝飾会社を独立して立ち上げた。相沢家の支援もあり、事業はどんどん拡大し、ようやく祖父も正人を重用するようになった。

やがて高橋正人はますます成功し、高橋家での立場も徐々に変わっていった。他の親族たちも正人に媚びへつらうようになったが、美咲は、あの時相沢家の助けがなければ、正人が高橋家の中で頭角を現すことは決してなかったと分かっていた。

残念ながら、結局母は間違った男に心を捧げてしまったのだ。

「叔母さん、今日は何の用で東京までいらしたんですか?」美咲は我に返って尋ねた。

「電話じゃうまく説明できないわ。会ってから話す。」

そう言うと、高橋良子はピシャリと電話を切った。

美咲はどうしようもなくため息をついた。

結局、美咲は荷物をまとめて、ビルの下まで高橋良子に会いに行くことにした。

九条インターナショナルのビルの下にあるカフェで、美咲は高橋良子を見つけた。高橋良子は高橋グループでマネージャーを務める、かなり気の強い女性だ。今日はベージュのスーツに身を包み、髪を高くまとめ、薄化粧をしていた。全体的にとても有能で洗練された印象だった。

高橋良子は昔とあまり変わっていないようだった。仕事以外でも自分磨きを怠っていないのだろう。

美咲が現れると、高橋良子の視線が彼女に注がれた。良子は美咲をじろじろと見てから、前の席を指さして「美咲、来たなら座りなさい」と言った。