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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 618 - ある日突然、お見合いする羽目に

Chapter 618

ある日突然、お見合いする羽目に

「えっ!」九条凛は思わず立ち上がりそうになった。

まさか九条蓮の話から自分の話に飛ぶとは思わず、しかもこの流れだと…まさかお見合い!?しかも今日の午後!?

なんて急展開。心臓が持たない…。

九条夫人は言った。「そんなに驚くことないでしょ。今どきはみんな忙しいんだから、スピード勝負よ。自分で彼氏探してたら、また森岡千隼みたいなのに引っかかるだけでしょ?」

自分のことになると、九条凛は一気に黙り込んだ。

自分だって被害者だ。

まさか森岡千隼みたいな金の亡者で貧乏人を見下す男に当たるなんて、誰が望んだ?

「ママ、その友達って誰?私、知ってる人?」九条凛は九条夫人の提案をしぶしぶ受け入れつつも、やっぱり不安で、相手が誰なのか確かめたかった。

東京の名家ならほとんど顔見知りだし、会ったことがなくても名前くらいは聞いたことがある。

事前に分かっていれば、心の準備もできる。

九条夫人は鼻で笑った。「今さら選り好みできる立場?とにかくお見合いに行きなさい!」

九条凛は泣きたい気持ちだった。

一応、九条家の娘なのに、そんなにダメなの?

結局、しょんぼりと支度を始め、午後にそのお見合い相手と会うことになった。

まさか自分も、こんな日が来るなんて思いもしなかった。

九条凛はさっとメイクを直し、九条夫人に指定されたレストランへと向かった。

お見合い自体にはそれほど興味はなかったが、最低限の礼儀は守るべきだと思っていた。

今夜は東京のとてもお洒落な洋食レストランでディナーをする約束だった。九条凛は入口に車を停め、レストランの方を見やった。店内から漏れる灯りは薄暗くて温かく、ロマンチックな雰囲気で、窓際には男女が何組も食事を楽しんでいた。

周囲を見渡したが、自分のお見合い相手らしき男性は見当たらなかった。

結局、心の中のもやもやを押し込めて、ドアを開けて中へ入った。

スタッフが九条凛に気づくと、すぐに丁寧に近づいてきて「ご予約でしょうか?何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてきた。

その時になって、九条凛は九条夫人にどこで待ち合わせるのかを聞き忘れていたことに気づいた。今まさに電話をかけようとしたその時、レストランのドアが開いた。

突然、男女が一組入ってきた。

その二人を見た瞬間、九条凛はその場で固まり、顔に驚きが広がった。

なんと……森岡千隼だった!

しかも彼は、頭の先からつま先まで完璧に着飾った女性と一緒で、彼女の腰に手を回していた。

森岡千隼も九条凛と鉢合わせるとは思っていなかったようで、一瞬表情がこわばり、どこかぎこちない様子だった。

彼が連れていた女性は西園寺莉央という。西園寺家は元々大した地盤もなく、完全な成金だったが、金の力で大阪に足場を築き、九条ホールディングスとも繋がりを持つようになった。そのビジネスの縁で森岡千隼と西園寺莉央が関わるようになったのだ。

西園寺莉央も森岡千隼に彼女がいることは知っていたが、相手はただの一般家庭の女だと高を括って、全く気にも留めていなかった。

だが今、森岡千隼が目の前の女性をあんなに険しい顔で見つめているのを見て、西園寺莉央はすぐに眉をひそめた。

彼女は冷たく「この人があなたの元カノ?」と尋ねた。

森岡千隼は否定する勇気もなく、「ああ……」とうなずいた。

森岡千隼がそう答えた瞬間、西園寺莉央は九条凛を上から下まで値踏みするように見た。

九条凛は九条家の長女としての身分を取り戻すと決めてから、もう自分を隠すことをやめていた。今日はお見合いということもあり、最新コレクションのドレスに、高橋美咲がデザインしたジュエリーを身につけていた。その姿は、いわゆるお嬢様であるはずの西園寺莉央よりもずっと華やかだった。