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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 614 - 佐伯葉月の唯一の誇り

Chapter 614

佐伯葉月の唯一の誇り

これが佐伯葉月の唯一の自慢だった。高橋美咲より家柄が上だということ!

高橋美咲は口元をわずかに上げた。「九条家の門は案外簡単に入れるよ。ここ数日、九条家本邸で寝泊まりしてたけど?何か文句ある?」

高橋美咲はもともと黙って耐えるタイプではない。恋のライバルが目の前で挑発してきたからには、徹底的に怒らせてやるつもりだった。

高橋美咲は、佐伯葉月がここまで図々しいとは思ってもみなかった。もともとは彼女の立場を皮肉ってやろうとしたのに、逆に一言で言い負かされ、悔しさで顔を曇らせるしかなかった。

高橋美咲はもう佐伯葉月にこれ以上何か言う気もなく、踵を返してその場を離れた。

去っていく高橋美咲の背中を見送りながら、佐伯葉月は内心で歯ぎしりした。どうせ九条家の大旦那様は高橋美咲のことを気に入っていない。だったら自分の立場を使って、九条蓮を奪ってやる!

高橋美咲は九条蓮の車に乗り込んだ。

以前の一件以来、九条蓮はもう自分の素性を隠すことなく、自分の高級車を運転していた。

高橋美咲に心の準備をさせるため、真壁直人には運転を頼まず、自ら迎えに行き、送り届けることにした。少しずつ慣れさせていくつもりだった。

高級車は流星のように街を駆け抜ける。高橋美咲は助手席に座り、車内を見渡しながら、複雑な思いで胸がいっぱいになり、しばらく何も言えなかった。

九条蓮は高橋美咲に視線を向けた。

「何を考えてるんだ?」と彼は尋ねた。

その声に我に返った高橋美咲は、不機嫌そうに言った。「佐伯葉月って、あなたのお祖父様が用意した女性でしょ。ずっとあなたを狙ってるし、さっきも私に警告しに来て、立場で私を押さえつけようとしてきたの!」

本当は高橋美咲も、いちいち拗ねたくはなかった。でもさっき佐伯葉月に遭遇したことを思い出すと、これからも何度も顔を合わせるのかと思うだけで、どうしようもなくイライラした。

たとえ九条蓮と佐伯葉月の間に何もなかったとしても、毎日他の女が自分の男を狙っているのを目の前で見せつけられたら、どんな女だって面白くない。

昨夜、高橋美咲は「九条家の大旦那様に気に入られてみせる」と言ったばかりだった。

こんなふうに気持ちが行ったり来たりするのはよくないと思いつつも、どうしても感情を抑えきれなかった。

実際、高橋美咲は九条蓮に何かしてほしいわけじゃなかった。佐伯葉月と勝負する自信はある。ただ、彼女には九条インターナショナルにいてほしくなかった。

何しろ佐伯葉月の後ろには佐伯家がついている。九条蓮がいなければ、どうして九条インターナショナルに入れたはずがない。

九条蓮が無視してくれても、一日中うろうろされて邪魔されるだけで、腹が立って仕方がない。

少し迷った後、高橋美咲は「九条蓮、佐伯葉月を辞めさせてくれない?」と尋ねた。

そう言ってから、九条蓮を期待するように見つめた。「私、これからも彼女と勝負するつもりだけど、九条インターナショナルにはいさせないでほしいの。」

車はゆっくりと九条家の敷地に入り、九条蓮はガレージに車を停めた。

どちらも車を降りず、しばらく沈黙が流れた後、九条蓮はため息をついて言った。「美咲、君が佐伯葉月を苦手なのは分かってる。でも今は彼女を辞めさせることはできない。もう少ししたら必ず辞めさせるから、もう少しだけ我慢してくれないか?」

九条蓮には彼なりの考えがあった。

彼は高橋美咲の実力を信じていた。もし高橋美咲がこの勝負で佐伯葉月に勝てば、その時に佐伯葉月を九条インターナショナルから外しても問題はない。だが今はまだその時ではなかった。

今はまさに二人の勝負の真っ最中。もし本当にそんなことをすれば、九条家の大旦那様側が強く反発するだろう。