Midnight FableMidnight Fable

裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 578 - どうして私を知らないふりをするの?(続き)

Chapter 578

どうして私を知らないふりをするの?(続き)

その言葉を聞いた瞬間、高橋美咲の顔色が一気に曇った。

一つとして事実はなく、あまりの下劣さに思わず平手打ちしたくなるほどだった。

だが、ここで騒ぎを起こしたくなかったので、必死に自制した。腕を組み、冷ややかな目で岩瀬一真を見据え、「あの時はあんたが色欲に目がくらんで私に手を出そうとしただけでしょ。今さら事実をねじ曲げて、良心が痛まないの?外でデタラメ言ったら、絶対に許さないから」と言い放った。

「デタラメだと?俺はお前が俺を誘惑した証拠写真も持ってるんだぞ。」

高橋美咲は呆れたように目をそらした。そんな証拠など信じていないし、やましいことも一切なかった。

これ以上相手にする気もなく、冷たい表情のまま踵を返してその場を立ち去った。

去っていく高橋美咲の背中を見送りながら、岩瀬一真は不気味な笑みを浮かべた。

……

高橋美咲がトイレに行っている間、佐伯葉月はその隙をついて九条蓮に近づいた。

彼女は九条蓮の隣に座り、薄く微笑みながら「私が九条インターナショナルに入ること、気にしてないよね?全部九条会長の意向なの。私だって本当は高橋さんと争いたくないけど、恋のライバル同士だし、ぶつかるのは仕方ないよね」と話しかけた。

九条蓮の正体を知っているため、佐伯葉月は声を潜め、体も自然とかなり近づいていた。

外から見れば、二人はとても親しげに見えた。

九条蓮はわずかに眉をひそめ、気づかれないようにさりげなく距離を取りながら、「気にしていない。祖父はいつも無駄な努力ばかりしている」と淡々と返した。

つまり、九条会長のやっていることは全部無駄だという意味だったが、佐伯葉月にはまるで九条蓮が自分に何かをほのめかしているように聞こえた。実際は九条会長はこの件を知らず、佐伯葉月自身が高橋美咲に対抗したいと申し出たのだった。

それでも彼女はすぐに気持ちを抑え、表情を元に戻した。

佐伯葉月は目を伏せて微笑み、「私たちみたいな立場の人間は、将来は政略結婚、力と力の結びつきしか選択肢がないのよ。高橋美咲なんて遊び相手にはちょうどいいけど、九条会長が彼女を九条家に入れるなんて絶対に許さないわ」と言った。

九条蓮の表情はすでにかなり不機嫌になっていた。

誰かが高橋美咲を見下すのは我慢できない。佐伯葉月は自分の家柄や地位が高橋美咲より上だと誇っているが、実は高橋美咲も名家の娘だということを知らない。

森川茉莉と相沢紫苑は、高橋美咲がいない隙に佐伯葉月が九条蓮に話しかけているのを見て、少し憤慨していた。

「佐伯葉月、何を企んでるの?」

「もしかして高橋マネージャーの旦那さんを狙ってる?」

「あり得るよ。家柄以外なら、高橋マネージャーの旦那さんは普通の男よりずっと素敵だし、横取りしたくなるのも分かる。」

「高橋マネージャー、トイレ長すぎじゃない?早く戻らないと旦那さん取られちゃうよ。」

「そんなこと言わないで。高橋マネージャーの旦那さんは、そういう人じゃないと思う。」'],

title

ちょうど二人が心配していたとき、高橋美咲がトイレから戻ってきた。

高橋美咲は一目で、佐伯葉月が九条蓮のそばにぴったりと寄り添っているのを見つけ、その目に冷たい光が走った。

この女は最初から怪しい動きをしていたが、今や公然と自分の男を狙っている。

高橋美咲は何も言わずに九条蓮の隣に座った。九条蓮は彼女が戻るのを見るやいなや、すぐに身を寄せた。その瞬間、佐伯葉月はまるで自分から言い寄って無視されたような格好になり、完全に面目を失った。

高橋美咲が戻ってくると、相沢紫苑と森川茉莉も味方ができたように強気になった。