Midnight FableMidnight Fable

裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 573 - なぜこんなに怒りが湧くのか

Chapter 573

なぜこんなに怒りが湧くのか

柳小路は一日中、仕事に身が入らなかった。何人かの同僚が冗談を言ってきても、どこか上の空だった。

頭の中は佐伯葉月の次の一手のことでいっぱいだった。今や、彼女を救えるのは佐伯葉月だけだった。

ようやく退勤時間になり、佐伯葉月と柳小路は近くの洋食レストランの個室に向かった。

席に着くなり、柳小路は待ちきれずに言った。「葉月、この前言われた通り、高橋美咲が高橋グループで働いてるって広めたけど、それが私の状況とどう関係あるの?」

彼女は不安そうな顔で、慌てて言った。「明後日は週末だし、その時に私が前に言ってた九条社長の彼女って話が全部誤解だったってバレたら、絶対みんなに笑われる。もうNiaにいられなくなる……。」

佐伯葉月は優しくなだめた。「柳小路、まだ焦らないで。もうあなたは私の仲間なんだから、ちゃんと助ける方法を考えるわ。」

佐伯葉月に慰められて、柳小路はようやく少し落ち着いた。

「前に言ってたじゃない、高橋美咲が高橋グループで働いてた時、既婚のマネージャーと不倫してたって。」

「うん、でもその後、そのマネージャー本人が出てきて全部誤解だって言ったの。」柳小路は当時を思い出しながら続けた。「私もこっそり調べたんだけど、あの時その人が高橋美咲の見た目に目をつけて、言うことを聞かせようとしたけど、高橋美咲が拒否した。それで無理やり噂を流して、彼女を屈服させようとしたみたい。でも結局、話は自然に消えたの。」

まさか高橋美咲が、あの頃からすでに男をたぶらかす女だったなんて。

佐伯葉月の唇に浮かんだ笑みが徐々に冷たくなった。彼女は柳小路を見て言った。「高橋グループの人たちは誤解だったって知ってるけど、東京の人たちは本当にそうだったかどうかなんて分からないでしょ?」

「でも、その人もう謝罪したし、どうして……」柳小路は途中で言葉を止めた。

佐伯葉月が何をしようとしているのか、ようやく気づいたのだ。

そういうことか!

「これを使って話題をそらせばいいのよ。その時には、あなたと九条社長のことなんて誰も気にしなくなるわ。」

柳小路の顔から一気に不安が消え、すぐに笑顔になった。

病室の中。

もうすぐ食事の時間で、水城圭介は首を長くして配達員が来るのを待っていた。

相沢紫苑に少し多めに作ってもらうよう頼んでいて、それ以来、毎日楽しみができた。相沢紫苑の手料理を食べるのはもう一日目だが、どの食事も本当に美味しくて、しかも一度も同じメニューが出てこない。

今では入院生活も全然苦じゃなくなった。むしろ、もう少し長く入院して、相沢紫苑のご飯をもっと食べたいと思うほどだった。

隣のベッドの相沢秀が水城圭介をちらりと見て、興味深そうに聞いた。「なあ水城、お前にこの前ご飯持ってきてくれた女の人、彼女か?」

水城圭介は我に返って首を振った。「いや、ただの……」

少し考えた。相沢紫苑との関係を友達と言うのも違う気がして、「同僚だよ」と答えた。

「同僚でもご飯持ってきてくれるなんて、なかなかやるな。」相沢秀は目を光らせて、「じゃあ何もないなら……」

相沢秀はにやりと口元を歪めた。「だったら連絡先教えてよ。あの子、結構タイプなんだよね。」

水城圭介の顔が一瞬で険しくなり、低い声で「ふざけんな」と吐き捨てた。

ここ数日、相沢秀のもとに色んな女が見舞いに来るのを見ていて、私生活がだらしないのは知っていたが、まさか自分の方にまで手を伸ばしてくるとは思わなかった。相沢紫苑みたいないい子を、絶対に相沢秀なんかに近づけたくない。

そう思った瞬間、水城圭介はふと我に返った。

なぜこんなに腹が立つんだ?