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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 565 - ぼんやりした頭で「奥さん」と聞こえた気がした

Chapter 565

ぼんやりした頭で「奥さん」と聞こえた気がした

「あのね、紫苑さんが今晩ご飯をご馳走したいって。今時間ある?せっかくだから紫苑さんの家でご飯をいただいて、今日は料理しなくて済むよ」

しばらく沈黙があった。「今、病院にいるんだ」

「また水城圭介のお見舞い?」

高橋美咲は少し驚いた。九条蓮が同僚とそんなに親しいとは思っていなかった。

「うん。先に様子を見てから、仕事終わりに迎えに行こうと思ってた。今すぐ戻ろうか?」

「大丈夫。ちょうど紫苑さんのマンションは病院のすぐ近くだし、先に買い物してからそっちに行くから、あとで一緒に紫苑さんの家に行こう」

九条蓮は特に反対せず、そうして決まった。

高橋美咲が部屋を出ると、相沢紫苑に「先に帰ってて。あとで九条さんを迎えに行ってから、紫苑さんの家に行くね」と伝えた。

森川茉莉も一緒に連れて、3人で相沢紫苑の家へ向かった。

近くのスーパーでたくさん食材を買い込んだあと、高橋美咲は森川茉莉と相沢紫苑に先に帰ってもらい、自分は病院へ九条蓮を迎えに行った。

高橋美咲は病院で水城圭介に会った。

今日はだいぶ元気そうだった。顔はまだ腫れていたが、足の手術も終わり、順調に回復しているようだった。

「先生から、刺激物は控えて消化のいいものを食べるように言われてるでしょ。ちょうど友達と近くでご飯食べるから、あとで何か持ってきてあげるね」

水城圭介はそれを聞いて、感激したように高橋美咲を見つめた。

聞き間違いじゃないか?

高橋美咲が自分にご飯を持ってきてくれると言ったのか?

水城圭介は九条蓮の顔色をうかがい、怒られるのではと心配したが、意外にも九条蓮はとても穏やかな表情で、特に何も感じさせなかった。

実際、九条蓮は全く気にしていなかった。

高橋美咲が言う通り、相沢紫苑の家はすぐ近くだし、ちょっとしたことだ。

水城圭介は「ほ、本当に……ご飯、持ってきてくれるの?」と聞いた。

「もちろん。友達の家でご飯作るから、できたら一人分包んで持ってくるよ」

水城圭介は家族がいない環境で育ち、外食に本能的な抵抗があった。高橋美咲がご飯を持ってきてくれるなんて、思ってもみなかった。

「ありがとう、奥……さん……いてっ!」水城圭介は興奮しすぎて傷口を引っ張ってしまい、痛みに顔をしかめた。

高橋美咲は慌てて「動いちゃダメだよ」と声をかけた。

なんだかぼんやりしているうちに、「ありがとう、奥さん」って聞こえた気がしたのは気のせいだろうか。

高橋美咲と九条蓮が相沢紫苑のマンションに着くと、相沢紫苑と森川茉莉はすでに野菜を洗ったり準備を始めていた。

高橋美咲もすぐに2人の手伝いに加わり、九条蓮も高橋美咲に指示されてキッチンで作業を手伝うことになった。

しばらくの間、あまり広くないキッチンに4人の姿がせわしなく動き回った。

作業しながら、自然とみんなでおしゃべりや冗談を交わしていた。森川茉莉がふと思い出したように、「高橋部長、相沢さん、言い忘れてたんですけど、今朝ニアから週末にみんなで食事会しようって誘いが来てました。でも私たちってライバル関係だし、断っておきました」と言った。

相沢紫苑は不思議そうに「食事会?なんで急に?」と聞いた。

森川茉莉は高橋美咲をちらりと見て、少し困ったようにため息をついた。

「調べてみたら、どうやら昨日の退勤後の件が原因みたいです」

「昨日の退勤後」と聞いて、高橋美咲はふいに昨日の急な雨と、九条蓮の車の前で立ち尽くしていた柳小路の姿を思い出した。あれが関係しているのだろうか。

そこで森川茉莉は自分が聞いた話を最初から最後まで説明した。