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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 548 - 三流デザイナー

Chapter 548

三流デザイナー

結婚?

九条蓮との婚姻届受理証明書は、もともと偶然の産物だった。だから、普通の夫婦が踏むべき段取りなんて何一つなかった。

今は、家すらまだなかった。

まだ水城圭介のマンションを仮住まいとして借りている状態で、生活の基盤すら整っていない。そんな状況で、どんな結婚の話ができるというのだろう。

相沢紫苑の言葉に、高橋美咲は改めてこの問題について考え始め、すぐに新たな目標を見つけた!

今度こそ、佐伯葉月に勝って、九条インターナショナルでしっかりと自分の居場所を築く。そのために、もっとお金を稼がなければならない。

たとえQueenとしてデザインサイトで作品を売り続けることはできても、それが長期的な解決策でないことは分かっていた。

あの指輪が高値で売れたのは、長年Queenとして表に出ていなかったことと、正体を明かさずにいた神秘性、そしてタイミングや周囲の盛り上がりが重なったからこその結果だった。

でも、今や正体が明かされてしまった以上、あの時のような効果はもう期待できない。

このまま長く売り続ければ、Queenという名の価値もどんどん下がってしまう。それなら、むしろ本来の威厳を保った方がいい。

やはり地道に働いてお金を稼ごう。そして、十分な花嫁資金が貯まったら、九条蓮と結婚して彼を自分の家に迎え入れよう。

高橋美咲は相沢紫苑を東京に連れて戻り、一緒に部屋まで借りてあげた。すべてが落ち着いてから、ようやく安心できた。

相沢紫苑が慣れない土地で戸惑わないよう、できる限りのことをしてあげた。家賃も当面は払わなくていいと言って、彼女の不安を取り除いた。

感謝の気持ちとともに、相沢紫苑は心の中で「絶対に高橋美咲のために頑張ろう」と密かに誓った。

翌日、メゾン・ヴェルヌ・ジュエリー部門。

普段は活気に満ちていた部署も、今はがらんとした空間に三人しか残っていなかった。

他のメンバーはみんな佐伯葉月に引き抜かれてNiaへ移ってしまい、しかもNiaはメゾン・ヴェルヌの一つ上のフロアで、まるで彼らの頭上に圧し掛かるような位置にある。

しかも、三人のデザイナーもまだ採用できていない。森川茉莉は小さくため息をつき、「高橋部長はきっと大変なプレッシャーだろうな」と思った。

だが、高橋美咲は森川茉莉ほど落ち込んではいなかった。手を叩いて「さて、今は私たち三人だけだけど、他の人は引き続き私が採用活動を進めるから、二人は自分の仕事をしっかりやってくれればいい」と明るく言った。

そして相沢紫苑に向き直り、「三ヶ月後にはメゾン・ヴェルヌとNiaの売上集計があるから、それまでに新作をデザインして生産に回さないといけない。プロモーションなどの人員もこれから探すけど、それは気にしなくていい。紫苑はデザインに集中して」と伝えた。

「はい、必ず最高の作品を作ります!」相沢紫苑は力強くうなずいた。

高橋美咲はやわらかく微笑み、すべてが良い方向に進んでいると感じた。

「チッ、誰かと思ったら……高橋美咲、今度は相沢紫苑を拾ってきたの?もう三流デザイナーしか使えないってわけね」突然、皮肉たっぷりの声が入口から響いた。

三人がそちらを見ると、いつの間にか柳小路が立っていた。

その目はあざけりに満ち、相沢紫苑を見下すような表情だった。

相沢紫苑は柳小路を見ると、顔色がさっと曇った。昔一緒に働いていたのはずいぶん前のことなのに、柳小路への苦手意識と恐怖は骨の髄まで染みついているようで、再び顔を合わせた瞬間、あの感情が蘇った。

高橋美咲は相沢紫苑の肩をそっと叩いて安心させ、柳小路に向かって「柳小路さん、新しい部署にいるはずなのに、何しにここまで来たの?ここはあなたの居場所じゃないわ」ときっぱり言った。