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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 547 - 九条家は彼女を粗末にしない

Chapter 547

九条家は彼女を粗末にしない

翌朝、高橋美咲は早起きした。前日の夜に今日の航空券を3枚買っており、相沢紫苑と九条蓮を連れて東京に戻るつもりだった。

たった1日の間に、相沢紫苑の気持ちは何度も不安に揺れ動いていた。

最初は高橋美咲が一緒に東京で働こうと言ってくれたのに、荷物をまとめた後で「ちょっと待ってて、他にやることができた」とメッセージが来て、やっぱり後悔したのかなとすごく不安になった。

何か問題が起きたのかと少し怖くなった。

もし高橋美咲が気が変わったとしても、相沢紫苑は責めるつもりはなかった。これまで十分助けてもらっていたからだ。

今になって手を引かれても、それほど大きな問題ではない。

それでも、相沢紫苑の心には少しだけ失望が残った。高橋美咲と出会って、新しい希望が見えた気がしていたからだ。

まあ、仕方ないか。

相沢紫苑は高橋美咲が後悔したのだと決めつけていた。

翌日、相沢紫苑のマンションのインターホンが鳴った。ドアを開けると、男女が立っていた。

「紫苑、準備できた?そろそろ行こうか」と高橋美咲が笑顔で声をかけた。

相沢紫苑はその場で固まってしまい、高橋美咲と九条蓮を呆然と見つめ、しばらく現実に戻れなかった。

高橋美咲!

「どうしたの?私に会えて嬉しくない?」

高橋美咲が2度目の言葉を発してようやく我に返り、「あ…高橋マネージャー」と言った。

「荷物はもうまとめた?」

「全部できてます!」相沢紫苑は力強く頷いた。

そこでようやく高橋美咲は九条蓮を相沢紫苑に紹介するのを思い出した。相沢紫苑はまだ自分が結婚していることを知らないはずだ。

相沢紫苑と知り合った頃は、まだ九条悠真と付き合い始めてもいなかった。

高橋美咲は少し気まずそうに咳払いし、小さな声で「相沢紫苑、こちらは私の…夫です」と紹介した。

その「夫」という2文字は少し後ろめたそうに、声も小さくなった。

だが、隣の九条蓮も相沢紫苑も、しっかりとその言葉を聞き取っていた。

九条蓮の目にはうっすらと笑みが浮かんだ。高橋美咲が他人の前で自分に面目を立ててくれるのが、明らかに嬉しかった。

高橋美咲に「夫」と呼ばれるのが好きだった。それは自分と高橋美咲がとても近い存在だという証だった。

相沢紫苑は、久しぶりに会った高橋美咲が既婚者になっているとは思わなかったし、しかも夫もなかなか良さそうな人だった。どこかで見たことがある気もしたが、すぐには思い出せなかった。

「こんにちは、九条と申します。」

九条蓮は丁寧に相沢紫苑に会釈した。

相沢紫苑もすぐに頷き、「こんにちは、相沢紫苑です。以前は高橋美咲さんの部下でした」と返した。

簡単な挨拶を終えると、高橋美咲は時間を確認し、「じゃあ、そろそろ行こうか」と言った。

「はい。」

九条蓮は率先して2人のスーツケースを持ち、紳士的で気配りのある様子だった。

相沢紫苑は思わず高橋美咲に小声で「高橋マネージャー、旦那さんすごく素敵ですね。いつ結婚したんですか?」と耳打ちした。

高橋美咲は少し困ったような顔をした。自分と九条蓮のことはあまり公にしたくなかったので、「1年くらい前かな」とはぐらかした。

「えー、ウェディングドレス姿見たかったな」と相沢紫苑は残念そうに言った。

それを見て、高橋美咲は「実は…婚姻届を出しただけで、式はまだなの」と付け加えた。

相沢紫苑は明るい性格で、高橋美咲との距離も近く、再び打ち解けると質問攻めにし始め、高橋美咲も対応しきれないほどだった。

「高橋マネージャー、結婚式やらないんですか?結婚式って女の子の夢ですよ。旦那さん、プロポーズしてくれました?」