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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 544 - 美咲さんは私の孫のお嫁さんよ

Chapter 544

美咲さんは私の孫のお嫁さんよ

九条蓮のその手は、こんなことをするためのものではない。料理なんて本来、使用人がやるべき仕事だ。それを自分から進んでやるなんて、身分を落とすにもほどがある!

九条家の大旦那様は怒り心頭だったが、ぶつける相手もいなかった。

その時、九条家の大奥様が隣に座り、「あなた、さっき美咲さんと市場に行ったんだけど、魚屋さんに騙されそうになったの。でも美咲さんがしっかりしてて、うまく切り抜けたのよ。本当に頼もしい子だわ」と話しかけた。

九条家の大旦那様は唇を引き結び、何も言わなかった。

所詮は市場で値切っただけじゃないか。そんなことで感心することはない。

もし高橋美咲がビジネスの世界で値切れたら、それこそ大したものだ。

九条家の大奥様はこっそり九条家の大旦那様の様子をうかがいながら、さらに続けた。「あら、見てごらんなさい。蓮ったら美咲さんと一緒になってから、料理まで覚えちゃって。将来何かあっても、食べるのに困ることはないわね」

「くだらんことを言うな!うちの家に何かあるはずがないだろう。分かってるぞ、お前はわざとそんなことを言って、あの女を認めさせたいんだろう。いったいどんな魔法をかけられたら、そこまで気に入るんだ?」

九条家の大旦那様はまだ偏見を捨てきれず、顔をしかめていた。

九条家の大奥様はふっと鼻で笑った。「私は好きよ。蓮には美咲さんが一番ふさわしいお嫁さんだと思うもの。美咲さんは私の孫のお嫁さんよ!」

九条家の大奥様に反論され、九条家の大旦那様の顔はさらに険しくなった。

九条家の大奥様は取り合う気もなく、冷たく言い放った。「そんなに美咲さんが嫌なら、今夜は彼女の作った料理を食べなければいいわ。喉を通らないでしょうから、空腹でいれば?」

「……」九条家の大旦那様は言葉を失った。

結局、黙り込むしかなかった。

九条家の大奥様は、九条家の大旦那様の扱い方をよく心得ていた。彼が何も言えなくなったのを見て、にっこりと微笑んだ。

九条家の大旦那様の頑固な性格は昔から変わらない。高橋美咲をすぐに受け入れるのは、やはり簡単なことではなさそうだ。

もしかしたら、高橋美咲と佐伯葉月の勝負が終わった後なら、少しは状況が変わるかもしれない。

実は、高橋美咲も料理で自分の力を示したいと思っていた。

今日の献立はしっかり考えてあり、お年寄りの歯が弱いことも考慮して、固いものや噛みにくいもの、辛すぎたり痺れるようなものは避け、消化の良いあっさりした料理を中心にした。

強い味付けがない分、料理の腕が試される。

だが、高橋美咲はすべて見事に作り上げた。

一人でテーブルいっぱいの料理を並べ、その光景はとても満ち足りたものだった。

この小さな村にはエアコンがなく、夜になって気温は下がったものの、高橋美咲は台所で火や湯気に包まれ、頬がほんのり赤く染まっていた。

九条蓮はその様子を見て、愛しさと切なさが入り混じった気持ちになった。タオルを手に取り、彼女の額の汗をそっと拭いながら「お疲れさま。座ってて。ご飯は僕がよそうから」と声をかけた。

そう言って高橋美咲を椅子に座らせ、自分はご飯をよそいに行った。

九条蓮が高橋美咲にこんなに優しく、彼女を先に座らせて自分がご飯をよそいに走る姿を見て、九条家の大旦那様は少しだけ嫉妬を覚えた。

長男の孫に、こんなふうに気遣われたことは一度もない。

まったく、嫁をもらったら爺さんのことなんて忘れてしまうのか!

目の前の料理を見て、九条家の大奥様は高橋美咲がきっと心を込めて作ったのだと分かった。「美咲さん、これ全部あなたが作ったの?どれも本当に美味しそう。すごいわね!」と感嘆した。