Chapter 543
九条家にも植物状態の家族がいる
九条家の大奥様がこんなにたくさんの子どもを産んだのに、誰一人として自分や九条のお祖父様のもとに帰ってこないなんて、あまりにも薄情だと思った。
でも、それでもいい。自分と九条蓮がいるから。
高橋美咲は口元に微笑みを浮かべ、胸に手を当てて約束した。「お祖母様、私たち、時間がある時は必ず帰ってきますから。」
「美咲は本当にいい子ね。」九条家の大奥様は微笑みながら彼女を見つめ、自分の目に狂いはなかったと感じていた。
「お祖母様、今夜は私が腕前をお見せしますね。」
「じゃあ、お祖父様と二人で楽しみに待ってるわ。」
九条家の娘たちはみんな箱入りで、家事なんて一度もしたことがなかった。自分のために料理を作ってくれるなんて、今まで考えたこともなかったから、高橋美咲が料理をするというだけで、期待と新鮮さで胸が高鳴った。
実は高橋美咲も、九条家の大奥様と九条のお祖父様がいつも二人きりで暮らしていて、きっと食事も質素なんだろうと考えていた。
今ここで自分が食事を作って、少しでも家の中に温かさと賑やかさを添えられたら、二人もきっと喜んでくれるはずだと思った。
その後、九条家の大奥様は高橋美咲の後ろについて歩きながら、彼女が新鮮な食材を選び、店の人と手際よく値段交渉をする様子を見守っていた。
こんな姿は、これまで上流階級のお嬢様からは想像もできなかった。今目の前にいるこの子は本当に生き生きとしていて、特別な存在に思えた。
九条蓮が彼女に惹かれたのも納得できる。高橋美咲は本当に素晴らしい子だ。
実は九条家の大奥様は知らなかったが、高橋美咲もかつては何もできない、まさに自分が思い描いていたような箱入りのお嬢様だった。けれど人生が彼女に多くのことを教え、普通の令嬢にはない強さや優しさを与えてくれたのだ。
「さあ、お祖母様、帰りましょう。」
最後は三人で両手いっぱいに大きな袋を抱え、荷物でいっぱいになって帰路についた。
家に戻ると、九条蓮がすぐに出てきて、荷物をすべて台所まで運ぶのを手伝ってくれた。
彼は心配そうに「どうだった?疲れてない?」と尋ねた。
高橋美咲は苦笑いしながら「ただの買い物だよ。そんなに疲れるわけないでしょ?さあ、早くこれ片付けないと鮮度が落ちて美味しくなくなっちゃう。お祖母様と約束したから、今日は私がご飯作るの」と言った。
ここに着いた時にはすでにお昼を過ぎていて、到着した頃にはもう夕方近くだった。そのうえ、高橋美咲と九条家の大奥様は市場を回ってきたばかりで、またすぐ夕食の時間になってしまった。
高橋美咲が昼に食べたあの法外に高いランチも、もうほとんど消化されてしまっていた。
そう言い終えると、彼女はまっすぐ台所へ向かった。
九条家の大奥様が「ここには鍋も茶碗も何もない」と言っていたので、すべて新しく買い揃えたばかりだった。まずはそれらを洗わなければならず、やることが山積みだった。
九条蓮も袖をまくって手伝い始めた。彼が高橋美咲と出会ったばかりの頃は、こういうことはまったく不慣れで、茶碗を割ったことさえあった。
だが、長い時間を一緒に過ごすうちに、二人の間には完璧な連携が生まれていた。
九条蓮は包丁を持って高橋美咲のために野菜を刻む。少しうつむき加減で、真剣な表情を浮かべているその姿は、男らしい魅力にあふれていた。
その隣で高橋美咲は野菜を選り分け、二人は息の合ったコンビネーションを見せていた。
二人が忙しそうにしているのを見て、安藤さんも手伝いに台所へ入ってきた。
外では、九条家の大旦那様が、九条蓮のような大の男が台所で忙しくしているのを見て、顔をしかめた。
なんということだ!
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