Chapter 531
九条蓮の正体を暴くための罠(続き)
「えっと……」高橋美咲は九条蓮を見上げて、「ご飯ならいいよ。彼に予定聞いてみるね。」
そのやりとりを聞いて、九条蓮は黒川善が何を言ったのか大体察し、「どうした?」と尋ねた。
高橋美咲は「善善が、あなたにご飯をご馳走してほしいって。ちゃんと知り合いたいんだって」と答えた。
九条蓮の目がわずかに陰り、意外そうな表情を見せた。
前回、黒川善とはすでに腹を割って話し、正々堂々と勝負しようと言われたばかりだ。それなのに、今度は自分から食事に誘ってくるとは、何か裏があるに違いない。
黒川善の魂胆は見え見えだったが、九条蓮はうなずいて「いいよ」と答えた。
二人が話している間に、黒川善はすでに九条蓮の声を電話越しに聞いていた。
昨日、九条蓮は静かに後をつけていたが、途中で割り込むことはなかったため、黒川善は九条蓮がすでに大阪に来ていることをまだ知らなかった。
今、九条蓮の声を聞いた黒川善は、慌てて「九条蓮がいるのか?今そばにいるのか?」と畳みかけた。
高橋美咲「うん。」
黒川善は歯を食いしばり、低く冷たい笑い声を漏らした。「思い立ったが吉日だ。今日やろうじゃないか。」
今日こそ、この羊の皮をかぶった狼の正体を暴いてやるつもりだった。
「えっと……」高橋美咲は少し戸惑った。黒川善が急に九条蓮に食事を奢らせようとした理由が分からず、九条蓮の方を見て、視線で意見を求めた。
黒川善の声は電話越しでも十分聞こえており、九条蓮もすべてを把握していた。
黒川善が何を企んでいようと、九条蓮はまったく恐れていなかった。どんな手でも受けて立つつもりだった。
九条蓮は口元をわずかに上げて微笑んだ。「食事を奢る?いいよ。」
高橋美咲はまだ少し迷っていたが、九条蓮がそう言ったので、あまり深く考えず「分かった。彼が夕食を奢るって。あとでお店を探して予約して、場所を送るね」と答えた。
「いや、もう予約してある。住所を送るから、そのまま来てくれ。」
そう言うと、黒川善は高橋美咲の返事も待たずに電話を切った。
その直後、住所が送られてきた。
高橋美咲はその場所を見たが、あまり馴染みがなかった。しかし、隣の九条蓮は違った。
雲上閣はまさに九条蓮が出資したレストランで、東京の御膳庵と同じ系列だった。黒川善がわざわざこんな店を選んで食事に誘った意図は明らかだった。
九条蓮はあの日、九条凛が言っていたことを思い出した。黒川善は彼の正体を暴こうとしているのだ、と。
九条蓮の目が一瞬暗くなり、それから高橋美咲に「せっかく友達をもてなすなら、他のみんなも呼んだ方がいい。誰かだけ特別扱いするのも変だし」と言った。
黒川善が何を仕掛けてくるか分からないが、しばらくは正体を隠しておきたい九条蓮は、九条凛も呼ぶことにした。
もし何かおかしなことが起きても、説明できるようにするためだった。
「他のみんな?」高橋美咲はきょとんとして、誰のことか分からなかった。
九条蓮は「九条凛も大阪にいるよ」と言った。
高橋美咲はそれを聞いて、ぱっと顔を明るくした。「凛ちゃんもいるの?連絡してなかったから全然知らなかった。」
そう言いながら、高橋美咲は九条凛に電話をかけて、一緒に食事に行こうと誘った。
その時、九条凛は九条家本邸で九条家の大旦那様と大奥様の相手をしていた。九条蓮が高橋美咲に会いに行ったので、さすがに邪魔はできず、自然と家を離れていた。
今、高橋美咲から食事に誘われて、九条凛は喜んで承諾した。
高橋美咲が電話を終えると、九条蓮が「行こう」と声をかけた。
二人は一緒に雲上閣へ向かった。入口に着くと、すでに九条凛が待っていた。
「美咲!」
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