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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 530 - 九条蓮の正体を暴くための罠

Chapter 530

九条蓮の正体を暴くための罠

黒川善はその医師を見上げ、沈んだ声で言った。「ちょっと聞くけど、もし誰かが偉そうにしてて、一日中お金がないふりをしていたら、どうやって正体を暴く?」

黒川善の言葉を聞いた医師は、考え込んだ表情を見せた。

「お金を貸してくれって頼んでみるのはどうです?」

黒川善は鼻で笑った。九条蓮に金を借りる?

そもそもそんな間柄じゃないし、借金の話なんて現実的じゃない。

黒川善は首を振って言った。「それは無理だ。俺たち、そんなに仲良くない。他に何かない?」

「他に……」医師は頭をかきながら言った。「人の金銭感覚やステータス意識って、子供の頃からの積み重ねだから、そう簡単には隠せませんよ。どんなに取り繕っても、どこかでボロが出るはずです。黒川先生、大阪の中心にあるエンパイアタワー最上階の雲上閣って知ってます?」

黒川善はうなずいた。「知らない人はいないだろ?大阪で一番有名なプライベートキッチンレストランだろ?金持ち向けで、一食の値段がとんでもないって聞いた。」

「特にあそこのシェフ。中国の伝説的な厨師・楚老師だけじゃなくて、東京からミシュランのエグゼクティブシェフも呼び寄せてる。二人の出演料も桁違い。普通の人は絶対に行けない店ですよ。なんでそんな話を?」

黒川善が有名になった頃、大阪の財閥の誰かが大金をはたいて雲上閣に招待したことがあり、店のことは少し知っていた。

それに、雲上閣が東京の御膳庵や九条ホールディングスと関係があるという噂も、なんとなく耳にしたことがある。

以前、九条家から治療の依頼があった時も、雲上閣に招かれたことがあった。そう考えると、やはり何か繋がりがあるのかもしれない!

黒川善の話を聞いた医師は、にやりと笑って続けた。「仲が悪いなら、お金を借りるのと同じ効果で、別の方法を使えばいいんですよ!」

黒川善は眉を上げて、続きを促した。

「雲上閣で最近、皇彩堂セットっていう中西折衷の特別コースが出たらしいんです。二人のエグゼクティブシェフが直接手がける宴で、一度食べるだけでとんでもない金額になるとか。前から噂は聞いてたけど、実物は見たことない。あの人をうまく誘って、最後に会計を任せれば、絶対にボロが出るはずですよ!」

この医師は食に関してはかなり詳しいようで、雲上閣の話になると止まらなくなった。

医師の話を聞き終えた黒川善の口元に、微かな笑みが浮かんだ。

この案は、確かに悪くない!

しかも、以前調べた情報によれば、雲上閣が本当に九条家と深い繋がりがあるなら、九条蓮は必ず何かしらの反応を見せるはずだ。

そうすれば、高橋美咲にもこの男の本性を見せられる!

高橋美咲と九条蓮は、ほとんど一日中、相沢のお祖母様のそばで病院にいた。何度も異常がないことを確認して、ようやく安心した。

二人が病院を出ようとした時、高橋美咲の携帯が鳴った。黒川善からの電話だった。

九条蓮は隣にいたので、着信表示を一目で見た。

彼の目が少しだけ陰ったが、何も言わず、高橋美咲のそばに静かに立っていた。

黒川善は高橋美咲にかなり執着しているようだ。だが、明日には大阪を離れて帰る予定だから、まあいいか。

高橋美咲は黒川善からの電話に、母親に何かあったのかと慌てて出た。「善善、どうしたの?何かあった?」

黒川善の声が聞こえた。「いや、今は良子さんの容態も安定してるよ。今日は別件で電話したんだ。」

何もなかったと聞いて、高橋美咲はほっと胸をなでおろした。「そう、よかった。で、何の用?」

黒川善は軽く咳払いし、何気ないふうに言った。「お前、こっそり結婚しちゃって、俺はまだ旦那さんとちゃんと顔合わせもしてないだろ?俺たちの仲なら、旦那さんに一度くらいご馳走してもらってもいいんじゃない?」