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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 518 - 高橋美咲、九条インターナショナル追放の危機(続き)

Chapter 518

高橋美咲、九条インターナショナル追放の危機(続き)

九条蓮の目がわずかに陰り、以前調べた情報を思い出す。高橋美咲はかつて高橋グループで相当苦労した。きっとその時のことを思い出したのだろう。

高橋美咲は小さくため息をつき、「うん。高橋グループにいた頃、父に義妹と競わせられて、最後の大事な場面で同僚のデザイン画を盗んだと濡れ衣を着せられて、結局高橋彩花に負けたの……」と語った。

この話を口にすることは滅多になかったが、今、九条蓮の前では無意識に心のガードが緩み、弱い部分をさらけ出してしまう。

「うん。九条インターナショナルでは、そんなことは絶対にさせない。」九条蓮は目を細め、静かに約束した。

「今度はまた佐伯葉月と勝負しなきゃいけないし、しかも柳小路もあの時の関係者で、今は佐伯さんの味方。今回は絶対に負けない!」

そう言った高橋美咲の瞳には、まるで夜空の星のような輝きがあふれていた。

九条蓮はそんな高橋美咲を優しく見つめ、「うん。俺は君を信じてる」と静かに答えた。

無条件に信じてくれる彼の姿に、高橋美咲の頬は思わず赤く染まった。「もう、この話はやめよう。今夜は何食べる?」

「君が食べたいものなら何でも。」九条蓮はそう言い、ふと思い出したように意味深に付け加えた。「栄養のあるものでもいいな。」

その言葉を聞いた瞬間、高橋美咲は顔が一気に熱くなった。

昨夜の出来事が頭をよぎり、思わず体が火照る。今日ほかのことで忙しくなければ、きっと疲れを無視できなかっただろう。

少しでも平静を装おうと、高橋美咲は九条蓮を睨み、「そんなに弱いの?」と口走ってしまった。

九条蓮の目が一瞬で鋭くなった。

自分の女にそんなことを言われて、我慢できる男はいない。

彼は冷たく微笑み、「俺が弱いかどうか、今夜確かめてみようか」と返した。

高橋美咲「……」

今からでも、さっきの言葉を撤回できるだろうか。

高橋美咲は2日間待ったが、相沢紫苑からは何の返事もなかった。

結局、我慢できずに相沢紫苑の住所を調べるのに1日かけ、そのまま大阪行きの航空券を即座に予約した。

あまりにも急な出来事だったため、九条蓮に伝える時間もなかった。ただ「蓮くん、大阪に人を探しに行くね。ついでにお母さんにも会ってくる。もしよかったら、あなたのお祖父様にも顔を出しておくよ」とだけメッセージを送った。

同じ頃、九条インターナショナルの社長室。

今日は九条凛が九条蓮に会いに来ていた。最近、佐伯葉月が九条家の大旦那様のもとを訪れ、九条インターナショナルに入れてほしいと頼み込んだうえ、高橋美咲と張り合うつもりだと聞き、九条凛は怒り心頭で、あの図々しい女が何を企んでいるのか確かめに来たのだった。

こっそり九条蓮のオフィスに忍び込み、驚かせてやろうと考えていた。

ところが、九条蓮とほんの数言交わしただけで、彼の携帯が鳴った。取り出して画面を見た九条蓮は、少し眉をひそめた。

九条凛は興味津々で覗き込んだ。高橋美咲がどんな呼び方をしているのか茶化す暇もなく、「大阪に人を探しに行く」とのメッセージが目に入った。

「美咲が大阪に?誰を探しに?まさか黒川善じゃないよね?それに“お祖父様に会いに行く”って……あなたの正体がバレるかもしれないのよ!それに、九条のお祖父様は美咲のこと嫌ってるんだから、意地悪されるかも!」

九条凛の心配はもっともだった。高橋美咲が一人で九条のお祖父様に会いに行くのは、決して良いことではない。

九条蓮は眉間に深いしわを寄せ、九条凛の言葉で明らかに機嫌が悪くなった。

しばらくして、九条蓮は電話を取り、社内の内線番号を押した。「井上勝、外出する。何かあればすぐに報告してくれ。」

九条凛は目を見開いた。外出?

まさか美咲を追いかけて大阪に行くつもり?