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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 509 - 佐伯葉月、高橋美咲との直接対決を望む

Chapter 509

佐伯葉月、高橋美咲との直接対決を望む

九条家の大奥様、九条絵美里は少し離れたところに座り、佐伯葉月がご機嫌取りをしているのを無表情で見ていた。心の中で本当に気に入っているのは、やはり高橋美咲だった。

佐伯葉月がどれだけ取り入ろうとしても、彼女には特に思うところはなかった。

佐伯葉月の言葉を聞いた九条家の大奥様は、「それは美咲が黒川家の当主に頼んで、大旦那様の体調を整えてもらったからよ。黒川家の当主の医術は本当に素晴らしいの」と口を挟んだ。

佐伯葉月の顔がこわばり、気まずそうな表情になった。

あの日の黒川翠の一件が脳裏をよぎり、九条家の大奥様はまるで傷口に塩を塗るようだった。

九条家の大旦那様は九条家の大奥様に視線を送り、それから穏やかに微笑んで言った。「もうすっかり良くなったよ。気遣ってくれてありがとう、葉月さん。今日はどうして大阪まで?」

佐伯葉月は九条家の大旦那様が単刀直入に切り出してくるとは思っていなかった。さっきまでどう切り出そうか考えていたのに。

こうなった以上、もう迷う必要はない。

少し考えてから、佐伯葉月は率直に言った。「九条家の大旦那様、実は…」

「九条蓮はメゾン・ヴェルヌという九条インターナショナルの新ブランドの責任者に高橋美咲を任命しようとしています。私のことをよく知らないからこそ、私に対してあんなに消極的なんです。だったら、いっそ私と高橋美咲を直接競わせてみてはいかがでしょうか。その方が、九条蓮も本当に選ぶべき相手が誰なのか分かるはずです。」

九条家の大旦那様はゆっくりと目を細めた。

九条蓮が自分の言葉を無視するだけでなく、高橋美咲にあんな有利な立場を与えようとしているとは思ってもみなかった。

佐伯葉月が言う「高橋美咲との競争」には、実は大いに賛成だった。

九条家の大旦那様は「どうやってやるつもりなんだい?」と尋ねた。

佐伯葉月は口元に微笑みを浮かべ、「ちょうど佐伯家も最近ジュエリー業界に参入して新規事業を展開しようとしています。今が絶好の機会ですし、父も九条家の大旦那様から色々学んでこいと言っています」と答えた。

「九条蓮が高橋美咲をメゾン・ヴェルヌの責任者にするなら、私にも九条インターナショナルで同じようなジュエリーブランドを立ち上げさせてください。そうすれば一石二鳥ですし、高橋美咲と私の競争で勝者を決められますし、私の実力も証明できます。」

佐伯葉月は話し終えると、さらに自信たっぷりに「その時には、きっとすぐに結果をお見せできると思います、九条家の大旦那様」と微笑んだ。

彼女は高橋美咲など眼中にないというように、満ち溢れる自信を見せていた。

実際、佐伯葉月がこれほど自信を持つのも当然だった。国際的なビジネススクールの経済学部を首席で卒業したエリートであり、自分の能力には絶対の自信がある。ビジネスの駆け引きや経営手腕においては、高橋美咲など到底敵わない。

高橋美咲は自分に比べれば、まるで足元にも及ばない存在だと言える。

九条家の大旦那様はしばらく考え、佐伯葉月の言葉は非常に理にかなっていると感じた。

九条家の女主人には、それにふさわしい実力が必要だ。いずれ佐伯葉月が高橋美咲を圧倒すれば、九条蓮も自分にとって何が一番得か分かるはずだ。

ビジネスマンが最も重視するのは利益優先であり、結婚ですら例外ではない。

九条会長は、今この場で愛だの恋だのといった馬鹿げた話を持ち出すのは本当に滑稽だと感じていた。富豪の家同士に愛情なんて存在しないのだ。

しばらく考え込んだ末、九条会長は思慮深げに言った。「よろしい、そういうことなら、私が決めて承諾しよう!」

佐伯葉月は満面の笑みを浮かべた。「ありがとうございます、九条会長。精一杯頑張ります。」