Chapter 503
九条蓮にすべてを打ち明けたい
翌朝、障子越しに差し込む陽射しが部屋を照らし、ベッドでぴったり寄り添う二人の上に降り注いでいた。
高橋美咲はすでにしばらく前から目を覚ましていたが、もう少しだけ九条蓮と一緒にいたかった。
まさか本当に九条蓮と一線を越えてしまうなんて、思ってもみなかった。
そのとき、高橋美咲は九条蓮に背を向けていたので、彼の表情はまったく見えなかったし、今何を考えているのかも分からなかった。ただ、彼のしっかりとした大きな手が自分の腰に添えられていて、その温もりが背中越しに伝わってくるのだけが分かった。
さらに、首筋にかすかな吐息も感じられた。顔を少しでも向ければ、すぐそこに九条蓮がいるのだと分かる。
高橋美咲は深く息を吸い、徐々に決意を固めていった。
少し体を動かしてみると、全身がひどく痛むことに気づいたが、今はそんなことを気にしている場合ではなかった。
ちょうど起き上がろうとしたそのとき、九条蓮が急に腕に力を込めて彼女を引き寄せ、離そうとしなかった。「俺が会社に連絡しておく。今日は家で休め。」
「……」高橋美咲の思考は一瞬で途切れ、気持ちが揺らぎそうになった。
実際、体は本当にしんどくて、しっかり休まなければならなかった。昨夜は本当に抑えがきかず、薬の影響もあったが、それ以上に九条蓮への自分の欲望もあった……。
昨夜の光景が次々と脳裏に浮かび、高橋美咲の頬は真っ赤になった。
慌ててそんな雑念を振り払う。今一番大事なのはそんなことじゃなく、九条蓮に伝えなければならないことだった。
九条蓮に、すべてを打ち明けたい——そう思った。
高橋美咲は九条蓮の手を取ってそっと外し、真剣な表情で言った。「だめ、どうしてもやらなきゃいけないことがあるの。」
そう言い残して、布団にくるまったままバスルームへと逃げ込んだ。
身支度を終えて部屋に戻ると、九条蓮はすでに起きていた。黒いバスローブ姿で、ソファに座りコーヒーを飲みながら、すっきりとした表情をしている。
高橋美咲は手のひらをぎゅっと握りしめ、意を決して九条蓮の隣に座った。
深呼吸してから、慎重に口を開く。「九条蓮、どうしてもあなたに告白したい大事なことがあるの。」
高橋美咲は顔を上げて九条蓮を見る勇気がなかった。もし彼の顔に嫌悪の色が浮かんでいたらと思うと、怖くて仕方がなかった。でも、昨夜彼を手に入れた。それだけで十分じゃないか、とも思った。
もう一度、勇気を振り絞る。
その声は悲しみに満ち、どこか自嘲気味でもあった。「あの日、九条凛と一緒に九条家軽井沢別邸で令嬢たちの集まりに参加したの。その後、あなたの妹に嵌められて薬を盛られて……誰かに助けられたけど……その人に、初めてを奪われたの。その人は——」
一度言葉を切り、拳を握りしめて悔しそうに言った。「九条悠真だったの!」
言えた——。
ついに心の奥に隠していた秘密を九条蓮に打ち明けた。これでもう、苦しみ続けなくて済む。
解放されたような気持ちと同時に、どこか寂しさも感じていた。
「九条蓮、あなたが離婚したいと思っても、怒っても、私のせいじゃない。あなたを裏切った。どんな決断をしても、私は責めない。ここで終わりにしよう。」
そう言い終えると、高橋美咲は手で顔を覆った。もう涙が止まらなかった。
今感じている痛みは、九条悠真に捨てられたときよりもずっと辛かった。
気づかないうちに、目の前のこの人を深く愛してしまっていた。でも、別れなければならない現実は、心をえぐられるように苦しかった。
九条蓮はその話を聞いて、わずかに眉をひそめた。
高橋美咲の言葉を理解するのに、しばらく時間がかかった。
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