Chapter 500
またあのイケメン
三十分前。
九条蓮は、桜井部長が高橋美咲を食事に誘ったと知ってから、高橋美咲からの連絡を静かに待っていた。
時間が一分一分と過ぎていくのを見つめながらも、高橋美咲からは一向にメッセージも電話も来ず、まだ食事が終わっていないのだろうと思っていた。
そんな時、桜井部長から電話がかかってきた。
桜井部長は、高橋美咲はすでに帰ったこと、そして今日の会話がとても楽しかったこと、今後九条インターナショナルと仕事をするのがきっと楽しみだと伝えてきた。
高橋美咲が帰ったのに自分に連絡をしてこなかったと知った九条蓮は、胸の奥に嫌な予感がよぎった。
電話を切るとすぐに、水城圭介に連絡を入れ、すぐに徹底的に調べるよう指示した。
その後、水城圭介から、九条悠真も偶然そのレストランで別の相手と食事をしており、高橋美咲とも少し話をしたという報告を受けた。
九条蓮は九条悠真のことを特に気にしていなかったが、彼が高橋美咲にしつこくする可能性がないとは言い切れなかった。
すぐに車を飛ばしてレストランへ向かった。
道中、九条蓮はアクセルを踏み込み、限界までスピードを上げた。それもすべて、胸の奥に湧き上がる説明のつかない不安のせいだった。
まさか、あの第六感がここまで的中するとは思わなかった。
九条蓮が九条悠真の腕の中で、かすかに自分の名前を呼ぶ高橋美咲を見た瞬間、胸の奥から怒りがこみ上げ、理性がすべて焼き尽くされた。
そして、地面に倒れている桜井奈緒を見たとき、九条蓮は何が起きたのか、ほとんど推測がついた。
彼は一歩で九条悠真の腕から高橋美咲を奪い返し、まるで宝物のように自分の腕の中で大切に抱きしめた。
「美咲、気分はどう?」
九条悠真が顔を上げると、九条蓮の高く威圧的な姿が視界に入り、その表情は一瞬で冷たくなった。
またあのイケメンか!
何度も自分の計画を邪魔してきて、今回もまた高橋美咲を奪っていった!
九条悠真は怒りを爆発させ、「今すぐ美咲を離せ、さもないと容赦しないぞ」と乱暴に言い放った。
九条蓮は冷ややかに一瞥をくれ、まったく脅しを意に介さなかった。
九条悠真がどうやって「容赦しない」のか、むしろ興味が湧くほどだった。
九条蓮のその軽蔑の眼差しに、九条悠真はさらに激昂し、歯を食いしばって拳を握りしめ、今にも高橋美咲を奪い返そうと睨みつけた。
だが、目の前の男の圧倒的なオーラに阻まれ、高橋美咲をしっかりと守られていて、隙などまったくなかった。
その時、高橋美咲は少し意識を取り戻し、ぼんやりと九条蓮の姿を見つけた。彼の香りに包まれると、目頭が熱くなり、さらに彼の胸に顔を埋めた。
「れ…蓮さん!来てくれた、うっ、うっ…」高橋美咲は必死に九条蓮にしがみついた。
高橋美咲のあまりにも頼りない姿に、九条蓮の胸は締め付けられるように痛んだ。彼はそっと彼女の目元の涙を拭い、「うん、ここにいるよ」と優しく囁いた。
その言葉を聞いた高橋美咲は、安心したように意識を失った。
彼女は九条蓮が守ってくれると分かっていた。
そして、九条蓮がいれば、もう何も怖くないとも分かっていた。
九条蓮は高橋美咲を抱き上げ、冷静かつ毅然とした態度でその場を後ろへと歩き出した。
その瞬間、九条悠真は九条蓮が高橋美咲を連れて行こうとしていることに気づいた。
動揺した九条悠真は、すぐに前に立ちはだかり、「待て!誰が美咲を連れて行っていいと言った!」と叫んだ。
九条蓮は冷たい視線を向け、その無関心な眼差しに九条悠真は思わず身震いし、得体の知れない恐怖を感じた。
「俺の女を連れて帰るだけだ。お前に関係あるか?」
その言葉を聞いた瞬間、九条悠真は納得がいかなかった。
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