Chapter 493
彼女には後ろ盾がいる(続き)
高橋美咲が出てくるのを見ると、慌てて駆け寄り尋ねた。「美咲部長、どうでしたか?」
先ほどの倉本隆氏の様子を思い浮かべ、高橋美咲は唇をわずかに上げて言った。「もしかすると、倉本隆氏の中ではもう答えが出ているかもしれないわ」
高橋美咲の自信に満ちた表情を見ると、柳小路は思わず鼻を鳴らし、嘲るように言った。「高橋美咲、倉本隆氏に何度か褒められたくらいで、調子に乗らないことね。最後はどうせ私に負けるんだから!」
得意げな柳小路を見ても、高橋美咲は何も言い返さなかった。
結局のところ、最終結果は自分で左右できるものではない。ただ九条蓮の言葉どおり、倉本隆夫人が自分を知っており、好印象を持ってくれていることを願うだけだった。
その時、そばに立って柳小路と高橋美咲の言い争いを見ていた佐伯葉月は、何か考え込むような表情を浮かべた。
最後の会社が中へ入ってからほどなくして、倉本隆氏のアシスタントが出てきた。
彼女は皆の前で発表した。「皆様との面談を終え、倉本隆氏は提携先を決定いたしました」
アシスタントはひと息置いてから続けた。「倉本隆氏が選んだのは、九条インターナショナルです。皆様にはご足労いただきながら、誠に申し訳ございません。ほかの企業の方々は、先にお帰りいただいて結構です」
周囲の企業は少し残念に思ったものの、九条インターナショナルほどの大企業に負けるのは当然だと考えた。
かなりの人々が立ち上がり、次々と別れの挨拶をした。
その時、メゾン・ヴェルヌのほかの者たちは皆、九条インターナショナルが選ばれた以上、先ほど勝ったのは柳小路だと思っていた。彼女は九条社長の恋人なのだから、最初から勝者に決まっていたのかもしれない。
一人が柳小路を見て、羨ましそうに言った。「小路、今回の選考に勝ったんだから、次も勝てばメゾン・ヴェルヌ全体を任されることになるわね」
「そうね。もう先にお祝いを言ってもよさそう」
「柳部長になったら、私たちのこともよろしくね」
柳小路は得意げにみんなの祝福を受けていた。「みんな、口がうまいんだから。じゃあ、後でグランドプロスパーホテルでご馳走するわね。」
「えっ、あの超高級ホテル?」
「今回は本当にご馳走だ!」
森川茉莉はそれを聞いて、がっかりした表情を浮かべ、そっとため息をついた。
これでは高橋美咲にまったくチャンスがなさそうだった。残念だな。
森川茉莉の様子を見て、高橋美咲は彼女が何を考えているのか察した。
美咲はふっと微笑み、森川茉莉の頭を優しく撫でて慰めた。「茉莉、そんなに落ち込まないで。これからもチャンスはあるよ。」
その時、倉本隆氏が会議室から出てきた。
彼は柳小路たちの会話を聞いていたようで、少し眉をひそめ、みんなの話を遮って言った。「申し訳ありませんが、私が選んだのは高橋さんです。彼女は非常に優秀で、リーダーに必要な資質をすべて備えています。」
その言葉が終わるや否や、周囲は一気に静まり返った。
みんな顔を見合わせて、聞き間違いではないかと疑っているようだった。
今、倉本隆氏は何と言った?選ばれたのは柳小路ではなく、高橋美咲?
一体どうなっているの?
九条インターナショナルが柳小路を推しているはずで、さっきも協力の話が決まったばかり。つまり柳小路が選ばれるはずだったのに、どうして高橋美咲になったの?
柳小路の笑顔は凍りつき、声を荒げて問い詰めた。「今、何て言いました?高橋美咲を選んだって?」
その甲高い声に倉本隆氏は深く眉をひそめた。「そうです。皆さんもご覧になった通り、高橋さんは素晴らしかった。あなたと比べても遥かに優秀です。私は一切えこひいきしていません。」
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