Chapter 492
彼女には後ろ盾がいる
柳小路の説明を聞きながら、倉本隆氏はほとんど何も言わず、時おりわずかに眉をひそめるだけだった。
次は別のデザイナーだった。絵が未完成のため、どこか後ろめたそうにしており、倉本隆氏に尋ねられても、口ごもっていた。
彼女が長いことしどろもどろに説明した後、ようやく高橋美咲の番になった。
高橋美咲は、すでに話す内容をまとめていた。かすかな笑みを浮かべ、倉本隆氏を見て言った。「倉本隆氏、今回は星と月をテーマにしたネックレスをデザインしました。月は奥様を、星々は奥様が支援してこられた子どもたちを表しています。私の知る限り、奥様は慈善活動にとても熱心でいらっしゃいます……」
「星と月は、切り離すことのできない二つの存在です。互いに支え合い、寄り添うと同時に、子どもたちを慈しむ奥様の決意も表しています。ですから、このネックレスはチャリティーガラで身につけるのに、とてもふさわしいと思います」
高橋美咲の話を聞くうちに、倉本隆氏の表情は次第に変わっていった。
実は、倉本隆夫妻もチャリティーガラで出会っていた。昨夜、九条蓮は倉本隆氏へ電話をかけ、高橋美咲を気にかけてほしいと頼んだ。そばにいた倉本隆夫人は、高橋美咲が九条インターナショナルの代表として来ると知ると、興奮して、必ず彼女を選ぶよう何度も念を押した。
なぜ皆が高橋美咲をそれほど気にかけるのか、倉本隆氏にはよく分からなかった。この娘の何が、そこまで人を引きつけるのだろう?
そこで先ほど、彼はこの機会を使い、メゾン・ヴェルヌの者たちの実力を試したのだ。
柳小路のデザインも悪くはなかったが、ありきたりで大きな見どころがなかった。一方、高橋美咲のデザインには目を見張るものがあった。倉本隆氏はようやく、なぜ妻が高橋美咲を特別に評価しているのか理解した。
彼自身も、高橋美咲はひときわ優秀だと感じた!
彼女は、とてつもなく大きな驚きをもたらしてくれた!
高橋美咲の説明を聞きながら、倉本隆氏は時おり軽くうなずき、満足そうな表情を見せた。
それを見た柳小路は、怒りで拳を固く握り締めた!
忌々しい。高橋美咲は、本当にもっともらしい話をでっち上げるのがうまい。自分が先ほどあれほど説明しても、倉本隆氏はこんな表情を見せなかった。今の様子では、明らかに高橋美咲へ満足している。
ふん! だから何だというの?
高橋美咲がどれほど完璧にこなそうと、最後に勝つのは自分だけだ!
しばらくして、高橋美咲は話し終えた。倉本隆氏は手元のスケッチを何度も眺め、笑みをこぼした。「高橋さんは実に発想が豊かですね。実は妻もデザインをするのですが、ありふれたデザインにはたいてい見向きもしません。しかし、これはひと味違う。妻に見せれば、きっと気に入るでしょう」
高橋美咲は、これ以上ないほど高い評価だと感じ、笑顔でうなずいた。
外でまだ数社が待っていることを思い出し、倉本隆氏は手を振って言った。「皆さんは外へ出て、しばらくお待ちください。ほかの会社との面談が終わりましたら、もう一度お呼びします」
倉本隆氏の言葉を聞くと、柳小路の顔に落胆の色が浮かんだ。
先ほどは、倉本隆氏がその場で自分を勝者に選ぶと思っていた。ところが、予想に反してまだ待たなければならない。
いいわ。それなら待ってあげる!
少し時間が延びたところで、どうということはない。高橋美咲にしばらく喜ばせてやるほど、自分には度量があると思えばよかった。
メゾン・ヴェルヌの一行が外へ出て待っていると、一人がひどく落ち込んだ様子で重いため息をついた。先ほどの自分の出来に、明らかに満足していなかった。
森川茉莉は高橋美咲のアシスタントだったが、中は混み合っていたため一緒には入らなかった。
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