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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 489 - 九条社長の恋人は誰?

Chapter 489

九条社長の恋人は誰?

そう考えた佐伯葉月の視線は、そばにいる柳小路へ向けられた。

前回、佐伯葉月は柳小路を呼び出したが、相手は尊大な態度を取り続けた。二人の話し合いはまとまらず、協力関係を結ぶこともなかった。

しかし、一つ分かったことがある。柳小路と高橋美咲は、激しく対立している。

今回はメゾン・ヴェルヌの責任者選考なのだから、熾烈な競争になるに違いない。柳小路に手を貸し、高橋美咲を徹底的に叩きのめさせるのも悪くない!

佐伯葉月の唇に、嘲るような笑みが浮かんだ。

ほどなくして、ベルタの創業者である倉本隆氏が姿を現した。中央に立ち、皆とひととおり挨拶を交わした。

「皆様の会社資料には、すでに目を通しました。どなたも非常に優秀です。しかし、私が提携したい相手は、能力だけで決められるものではありません。私が求めているのは、心の波長が合うパートナーです」

それを聞いた皆は、驚きの表情を浮かべた。

心の波長が合うとは、どういう意味なのか?

倉本隆氏は、いったいどのように提携先を選ぶつもりなのか?

だが、皆が質問する前に、倉本隆氏はすでに身を翻してその場を去り、会議室へ入ってしまった。

続いて倉本隆氏のアシスタントが現れ、一同に告げた。「これから倉本隆氏が皆様と個別に面談し、提携に対する考えを伺います。双方の考えが一致すれば、倉本隆氏が提携先に決定いたします」

倉本隆氏は以前から九条蓮側より、同社の責任者候補が数名そろって提携交渉に訪れるので、その中から最も優秀だと思う者を選んでほしいと聞かされていた。

ついでにできる程度のことだったので、倉本隆氏も断らなかった。九条蓮の頼みを聞いてやることにしたのだ。

倉本隆氏のアシスタントは全員にくじを引かせ、会議室へ入る順番を決めた。

メゾン・ヴェルヌが引いたのは、かなり後ろの順番だった。

そこで彼女たちは、静かに自分たちの番を待った。

その後は、アシスタントが会社名を読み上げるたび、その会社から一人が会議室へ入り、倉本隆氏に提携方針を説明していった。

人々が出入りする光景を眺めていると、高橋美咲は少しぼんやりした。まるで就職面接のように思えるのはなぜだろう?

自分の考えがおかしく思えて、彼女はつい唇に笑みを浮かべた。

待っている間、退屈した高橋美咲は九条蓮にメッセージを送った。

「ブーちゃん、もうベルタに着いたわ。さっきくじを引いたんだけど、私たちの順番はかなり後ろなの。今はみんな外で待っているところ。倉本隆氏は、提携に対する考えを私たちから聞きたいんですって」

……

その頃、九条インターナショナルの社長室。

今日は神谷海斗が九条蓮のもとへ遊びに来ていた。二人で座ってお茶を飲んでいると、九条蓮のスマートフォンの画面が突然明るくなった。神谷海斗は目の端で、その画面に表示されたメッセージをすぐに捉えた。

たちまち神谷海斗の口元が引きつった。

彼は遠慮なく吹き出し、尋ねた。「ぶっ……ブーちゃん? 何だ、その呼び名は?」

九条蓮は冷たい目で彼を一瞥すると、スマートフォンを手に取り、ロックを解除して高橋美咲へ返信した。

以前、九条蓮は高橋美咲をかわすため、適当な名前をでっち上げた。まさか彼女が本気にするとは思わなかった。その後、高橋美咲に愛情のこもった呼び名をつけてほしいと言ったところ、今では夫とさえ呼ばず、いきなりブーちゃんと呼んでくるようになった。

ブーちゃん?

九条蓮は目を細めた。今夜、家に帰ったらきっちり思い知らせてやろう。

彼は悠然と言った。「美咲が俺につけた愛称だ」

神谷海斗「……」

九条蓮の見せびらかすような表情には、こう書いてあるも同然だった。どうだ、妻が俺につけた愛称だ。お前にはないだろう?