Chapter 483
二人は高橋美咲に会いに来た
二人は奇妙な沈黙に陥った。
何がおかしいのか分からない高橋美咲は、少し途方に暮れた。
高橋美咲には状況が分からなかったが、後ろで一言も話さず立っていた相沢翔には、よく分かっていた。
以前、高橋美咲のことを両親へ話す機会がなかった。二人は高橋美咲が東京へ行って結婚したことを何となく知っていたものの、具体的な事情まではよく知らなかった。
今朝、相沢剛が仕事のことを尋ねた時、相沢翔はついでにこの件を口にした。
すると二人は緊張した表情になった。高橋美咲の居場所まで調べ、病院にいると知ると慌てて駆けつけた。表向きは、高橋恵の見舞いに来たように見せていた。
実際は、高橋美咲がいない時に、もう一度見舞いへ来ていたのだ。二人は最初から、高橋美咲に会うために来た!
相沢夫人は、高橋美咲の無邪気な表情を見ると、それ以上何も言えなくなり、慌てて相沢氏に目配せした。
二人の顔に、同じようなやるせない表情が同時に浮かんだ。
どうやら高橋美咲の決意は固く、もう説得できそうになかった。
相沢夫人は相沢氏を小突いた。「もう、いつまでもそんな怖い顔をしないで。美咲が怯えて、何も言えなくなっているじゃない」
それから二人は話題を変え、高橋美咲の近況について話し始めた。
相沢家と高橋家は仲違いしていたが、相沢氏は今も高橋家の動向に目を配っていた。高橋正人は徐々に高橋家の事業を高橋彩花へ任せ始めており、将来は彼女に家業を継がせるつもりらしいという。
高橋正人には、高橋美咲のほかに高橋彩花という娘しかいなかった。
高橋美咲が高橋正人と決裂した今、残るのは高橋彩花だけだ。そのうえ高橋花に言いくるめられているのだから、高橋家が高橋彩花の手に渡るのも当然だった。
高橋家と相沢家が絶縁したからこそ、相沢氏はこれらの事情を高橋美咲に伝えておく必要があった。
高橋グループの株式の一部は、高橋恵のものだったからだ。交通事故で植物状態になってからは、彼女がこうしたことに関与することはなくなっていた。
相沢氏はずっと、それをむざむざ他人に渡すわけにはいかないと思っていた。すべて高橋美咲が受け継ぐべきものだ。ただ、以前の高橋美咲はまだ若く、このような重い話をするには早すぎた。
今や彼女も大人になった。自分のものを取り戻す時が来たのだ。
相沢氏は言った。「当時、相沢家はお前の母親に相当な持参財を持たせた。今も高橋グループの株式の一部はお前のものだ。機会があれば、やはり一度高橋家へ戻るべきだろう。私たちはそれを欲しがっているわけではないが、他人に奪われるのも望んではいない」
高橋美咲は黙り込んだ。まだ決心はついていなかった。
高橋家へ戻れば、また高橋花や高橋彩花と関わらざるを得ない。もう少し心の準備が必要だと感じていた。
「もう少し考えてみます」
相沢氏はそれ以上迫らなかった。この件を高橋美咲に知らせ、心構えをしてもらいたかっただけだ。
その後、彼らはこの話題を打ち切った。
気づけば、病室で一緒に過ごしているうちに午後になっていた。高橋美咲はそこでようやく時間が経っていることに気づいた。九条蓮はもう用事を終えてマンションへ戻っているかもしれない。長く待たせないよう、自分も帰らなければならなかった。
「おじさん、おばさん、そろそろ帰ります。明日、東京へ戻るので、何かあったら連絡してください」
「ええ、気をつけてね」
高橋美咲は相沢夫妻に別れを告げ、病室を出た。
彼女が去ると、相沢翔は腑に落ちない様子で尋ねた。「母さん、父さん、二人とも本当に変だよ。美咲に会いに来たんじゃなかったの? 会った途端、どうして妙なことばかり言ったんだ?」
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