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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 470 - 人を深く傷つける存在

Chapter 470

人を深く傷つける存在

高橋美咲は、九条会長の顔に浮かぶ嫌悪を見て取った。

昨日逃げるように帰ったことで、彼を不快にさせたに違いないとも分かっていた。胸の後悔はさらに深くなった。

九条蓮は果物籠をベッド脇の台へ置き、高橋美咲に言った。「美咲、花を花瓶に生けてくれ」

高橋美咲はもともとその場に立ち尽くし、何を言えばいいか分からずにいた。九条蓮の言葉は、間違いなく気まずさから彼女を救うものだった。そこで花を手に取り、花瓶と水を探しに外へ出た。

そこでようやく九条会長は不満そうに鼻を鳴らし、言った。「なぜこの女を連れてきた!」

九条蓮は、九条会長の不機嫌さに気づいていないかのように、わずかに唇を上げて言った。「お祖父様、美咲はお祖父様の孫の嫁です。見舞いに連れてくるのは当然でしょう?」

九条蓮がとぼけるのを聞き、九条会長はいっそう腹を立てた。

また怒りで倒れることを恐れ、九条家の大奥様は急いでそばへ行き、背中を優しくさすった。「もう怒らないの。いつまで病院にいたいの?」

九条会長は、先ほど九条家の大奥様が言ったことを思い出した。当然、病院に居続けたいとは思わなかった。

そこで顔を背け、不機嫌そうに鼻を鳴らしたが、九条蓮の言葉には反論しなかった。

高橋美咲がまだ戻っていないうちに、九条蓮は二人の年長者へ言った。「お祖父様、お祖母様、美咲はまだ俺の身分を知りません。今はまだ、彼女に話さないでください」

九条家の大奥様はうなずいた。「分かったわ。あなたのために黙っておきましょう」

「おまえは、いつもこいつを甘やかしてばかりだ」九条会長は不満そうに九条家の大奥様をにらんだ。

九条家の大奥様は、思わず高橋美咲をかばった。「美咲は蓮の身分を知らないのに、それでもそばにいることを選んだ。お金目当ての女ではないことは明らかでしょう。あなたはいったい、あの子の何がそんなに不満なの?」

九条会長自身、自分が何に不満なのか、はっきり言えなかった。最初の印象のせいかもしれないが、とにかく高橋美咲への偏見でいっぱいだった。自分が意地を張っていると分かっていても、九条会長がそれを認めることは決してない。

長い間考えた末、ようやく一つの口実を思いついた。

彼は静かに言った。「あの女には身分も後ろ盾もない。大阪のほかの令嬢はさておき、佐伯葉月一人と比べても足元にも及ばない!」

九条家の大奥様はため息をついた!

頑固な人間が一つのことに固執すれば、十頭の牛で引いても連れ戻せない。

彼女が高橋美咲と短い間接した限りでは、必ずしも佐伯葉月に劣っているとは思えなかった。

九条家の大奥様は、実のところひどく不思議に思っていた。高橋美咲は確かに身分も後ろ盾もない女なのに、誕生日宴で見せた一挙手一投足は、名家の令嬢たちに少しも引けを取っていなかった。それどころか、これまで見てきた令嬢たちよりも身のこなしがよかったほどだ。

それでも九条会長は、佐伯葉月に及ばないと言うのか?

九条家の大奥様は言った。「では教えて。家柄以外に、美咲のどこが佐伯葉月に劣っているの?」

九条会長の顔が暗くなった。「おまえは、あの女の肩ばかり持つ。もう話す気にならん!」

二人の会話を聞きながら、九条蓮はわずかに眉を寄せた。

高橋美咲が高橋家の娘であることを、九条会長には一度も話していなかった。今、そのことを伝えるべきか考え直していた。

だがこの件は、やはり先に高橋美咲へ尋ねる必要がある。何しろ彼女と高橋家の関係は今、あまりよくない。口に出せば、彼女に面倒をもたらす可能性が高かった。

高橋美咲は病院の外で美しいガラスの花瓶を買った。水を入れ、買ってきた生花を生けると、九条会長の病室へ戻った。

まさか病室の入り口で、見覚えのある人物に出くわすとは思わなかった……佐伯葉月だ。