Chapter 454
正体が暴かれそう
……
誕生日宴の途中には休憩時間があり、皆は思い思いの場所へ散っていった。
招待客は集まって談笑するか、ソファに座って食事をしていた。
その頃、高橋美咲と九条凛も別邸の小さな庭へ下がり、休んでいた。
小さな庭には色とりどりの花が咲き誇っていた。そよ風が吹くと、心を落ち着かせる香りが運ばれ、気分まで晴れやかになる。
九条凛は後ろから付いてくる男を一瞥し、ひどく警戒した。黒川善に高橋美咲を奪われるのが怖くて、彼女を一瞬たりとも視界から外そうとしなかった。
思わず白い目を向けた。
もう!
どうしてこの男は、いつも高橋美咲に付きまとうの?高橋美咲にはもう相手がいるって知らないの?
黒川善は、九条凛が餌を守る番犬のように振る舞うのを見て、思わず笑いそうになった。
ここまで来て、黒川善には高橋美咲を巡る状況が、なんとなく分かってきた。目の前にいるのは九条凛。そして、あの九条蓮が……高橋美咲と勢いで結婚した男だ!
面白い!
高橋美咲は、あの男の正体を本当に知らない。信じられないほど馬鹿だ。
そう考えるうち、黒川善の目が暗くなった。前へ出て高橋美咲に言った。「美咲、全部調べ終わった。今、時間あるか?話がしたい」
つまり九条凛に去ってもらい、高橋美咲と二人で話したいということだった。
九条凛はたちまち焦った。勢いよく立ち上がり、言った。「何をするつもり!」
九条凛がこれほど取り乱すのを見て、高橋美咲の目がゆっくりと暗くなった。
もしかして、九条凛は本当に自分へ嘘をついていたの?
あまりにも複雑な感情が渦巻き、一瞬、九条凛とどう向き合えばいいのか分からなかった。しばらくして、低い声で言った。「凛、先に離れて。黒川善と話をさせてくれる?」
高橋美咲にそう言われ、九条凛は少し慌てた。「美咲、でも……」
高橋美咲の意志は固そうだった。九条凛は不本意ながらも、去るしかなかった。
一度振り返ると、黒川善が高橋美咲の前に立ち、何かを話していた。高橋美咲の表情も、どこかおかしい。
まずい!
兄の正体が暴かれそうなの?
九条凛はもう一度庭を見た。ちょうどそこに監視カメラがあった。
目に明るい光が宿った。
よし!
監視映像を確認すればいい。あの男が高橋美咲に何を話すつもりなのか、兄の正体を暴こうとしているのか分かる!
九条凛はたちまち元気を取り戻し、監視室へ急いだ。
ところが監視室のドアを押し開けると、中には九条蓮が座っていた。
九条蓮は静かに座っているだけなのに、無言の存在感が監視室全体を圧倒していた。もともとモニターを見ていた警備員は、恐る恐るそばに控え、大きな息さえできずにいる。
「兄さん?どうしてここにいるの?さっき送ったメッセージ見なかった?なんで外へ行かなかったの?美咲と、あの黒川善が……二人がもしかしたら……」
九条蓮は片手を上げ、九条凛に続きを言わないよう合図した。「分かってる」
彼はさっきからずっと監視室にいて、外で起きたことは何一つ見逃していなかった。
わざと姿を見せなかったわけではない。水城圭介が来るのを待っていたのだ。彼が来る前に高橋美咲の前へ軽々しく現れれば、いくつかのつじつまが合わなくなる。
その時、モニターから黒川善と高橋美咲の声が聞こえてきた。
二人の視線がモニターへ向けられた。
「全部調べたって、どういう意味?」高橋美咲は厳しい表情で黒川善を見た。
黒川善は口元に笑みを浮かべて言った。「馬鹿だな。さっき九条蓮に会ったよ」
監視室でそれを聞いた九条凛は、鋭く息をのんだ。
慌てて九条蓮の服を引っ張り、言った。「この人、兄さんの正体を暴くつもりみたい。どうしよう?美咲、怒らないかな?」
高橋美咲が真実を知り、さらによそよそしい声を向けるかもしれないと考えた瞬間、九条蓮の表情は冷え切った。
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