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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 450 - まさか私との約束をすっぽかすなんて

Chapter 450

まさか私との約束をすっぽかすなんて

佐伯葉月は、自分が生み出した効果に心から満足していた。まさにこれを望んでいたのだ。黒川翠を呼び出そうとしたその時、正面玄関が突然押し開けられた。

物音を聞き、誰もが反射的に振り向いた。

次の瞬間、背が高く目を引く姿が見えた。彼がいつも身につける、現代風に仕立て直された中山服を見て、大勢が一目で正体に気づいた。

「黒川家の当主、黒川善だ!」

「本当に黒川善よ。普段はとても忙しいのに、どうしてここへ来る時間があるの?」

「佐伯葉月が招いたのかしら?」

「そうみたい。さっき九条会長の体を診てもらうため、黒川家の人を招いたって言ってたでしょう?」

……

高橋美咲は歯を食いしばった。あとで絶対に黒川善と話をつける!

まさか、自分との約束をすっぽかすなんて!

こちらの患者を診ると、はっきり約束したくせに、同じ時に佐伯葉月の依頼も引き受け、高橋美咲を気まずい立場に置いた。さっき何も言わなくて本当によかった。そうでなければ、恥をかくのは自分だった。

黒川善は精巧な贈答箱を手に、まっすぐ九条会長と九条家の大奥様のもとへ歩いていった。

ほどなく二人の前で立ち止まり、笑顔で言った。「大奥様、いつまでもお健やかに。これは我が家に伝わる千年物の高麗人参です。どうぞお納めください」

九条家の大奥様は満面の笑みを浮かべ、喜んで受け取った。「来てくださるだけで十分なのに、どうして贈り物まで?」

隅にいた黒川翠は、前へ出ようとしたところで、思いがけず黒川善が現れたのを見た。

たちまち慌て、急いで身を隠した。

黒川善が来ないと知っていたからこそ、黒川家の名を勝手に使うほど大胆になれたのだ。今、黒川善本人が現れた以上、人前に出るどころか、隠れるだけで精いっぱいだった。

黒川善が現れると、佐伯葉月は驚いた顔をした。さらに周囲の人々が彼の正体を口にするのを聞き、衝撃で我に返れなくなった。

黒川善?この人が黒川家の当主なの?

その時、佐伯大輔は思わず佐伯葉月へ歩み寄り、低い声で尋ねた。「葉月、どういうことだ?黒川善を招いたのはお前なのか?招いたのは黒川家の別の人間だと言っていただろう。名前は何だったか、黒川……」

佐伯葉月は軽く首を振って言った。「お父さん、黒川翠よ!私にも何が起きてるのか分からない。黒川翠は、黒川善はとても忙しく、全然近づけない人だと言ってた。誰が診察を頼んでも順番を待たなきゃいけないから、それで黒川翠に来てもらおうと思ったの」

「では一体どういうことだ?以前、九条会長に探りを入れた時、黒川家は誕生日宴への招待を丁重に断ったと言っていた。だから、お前が黒川家の人間を招ければ、九条会長にきっと良い印象を与えられると思ったのだ」

佐伯大輔の目が暗くなり、確信を込めて言った。「九条家が招いたわけでもないはずだ」

佐伯葉月は高橋美咲を見た。

まさか黒川善を招いたのは、高橋美咲?

いや……ありえない!

佐伯葉月はすぐにその推測を否定した。

地位も後ろ盾もない高橋美咲のような女に、どうして黒川善を招く力があるというの?

九条家が招いたのでもなく、高橋美咲でもないのなら、他に誰がいる?

突然、佐伯葉月の心に大胆な推測が浮かんだ。もしかして……

もしかして、黒川翠が自分の面目を立てるため、黒川善を呼んだのでは?

一度その考えが浮かぶと、次第にそれが事実だと思い込んでいった。そうだと納得した途端、もう慌てることはなくなった。ただ上品に身を整え、薄い笑みを浮かべ、黒川善が九条会長と挨拶を交わす様子を見守った。

九条凛は黒川善を見た瞬間、その場で固まった。

さらに正体を聞くと、完全に言葉を失った!

黒川善?高橋美咲の近所のお兄さんは、黒川善だったの?