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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 449 - この女の祖父は誰だ

Chapter 449

この女の祖父は誰だ

九条家の大奥様は一瞬驚いたあと、何度もうなずいた。「ええ、ええ、そうしましょう。美咲、本当に気が利くわね」

そう言うと九条会長を見て、鼻を鳴らした。「美咲があなたを治してくれるお医者様を見つけてくれたのに、何も言わないの? どうして美咲にお礼を言わないのよ。まったく礼儀のなっていない人ね!」

九条会長「……」

いったい誰がこの女の祖父だというのだ。彼女を孫の嫁だと認めた覚えはない。それなのに、ずいぶん気軽にお祖父様などと呼んでくれる!

「ふん! わしは行かん!」九条会長は腹立たしげに顔を背けた。

「九条会長、どうか怒らないでください」佐伯葉月が従順そうに口を挟んだ。「診察のお話でしたら、実は私もちょうど先生をお一人お招きしています。先ほど診ていただくつもりだったのですが、お話しする機会がなくて」

それを聞いた九条会長は、興味を示して彼女を見た。「本当か? どこの、どんな医者を呼んだんだ?」

高橋美咲は、佐伯葉月と自分が偶然にも同じ時に医者を探していたとは思わなかった。

あまりにも出来すぎた偶然だった。

九条凛は佐伯葉月をにらみつけた。この女、わざとやったんじゃないの?高橋美咲がお祖父様のために医者を招いたと聞いて、自分も割り込み、お祖父様の機嫌を取ろうとしている。

不機嫌そうに口を挟もうとした時、高橋美咲になだめられた。「凛、ちょっと待って……」

九条凛は高橋美咲を信じていた。静かにするよう言うからには、きっと何か考えがあるのだ。そう思うと、次第に落ち着いた。

実際のところ、高橋美咲には何の策もなかった。ただ佐伯葉月の自信に満ちた表情を見ると、彼女が招いた人物は相当に優れた人に違いないと思ったのだ。

黒川善もなかなかの人物だが、相手の医者より上かどうかは分からない。佐伯葉月がすでに前へ出た以上、自分まで出て恥をかくのはやめた方がいいと考えた。

だから高橋美咲は、九条凛に話させなかった。

九条凛は高橋美咲に顔を寄せ、小声で尋ねた。「美咲、誰を呼んだの?まさか、あの黒川善じゃないよね?本当にあの人なら、佐伯葉月が呼んだ誰よりもずっとすごいよ。今すぐ言って、あの女をその場で叩きのめしちゃいなよ!」

高橋美咲は軽く首を振った。「佐伯葉月に任せよう」

そうかどうか答えなかったため、九条凛も高橋美咲が別の人を招いたのだと思った。

黒川善と高橋美咲が知り合いのようには見えたが、黒川善は誰の頼みも聞かない。高橋美咲にも、彼を呼べなかったのだろう。

結局、九条凛は仕方なさそうに言うしかなかった。「美咲ったら……はあ、分かったよ!」

その時、佐伯葉月は小声で話す高橋美咲と九条凛を一瞥した。

二人が自分の話をしているに違いないと分かっていた。九条凛の困りきった顔を見て、高橋美咲が招いた医者は大したことがなく、自分の医者にすっかり霞んだのだと思った。

佐伯葉月はわずかに口元を上げ、ゆっくり視線を戻した。得意げな笑みを浮かべ、柔らかな声で言った。「九条会長、私がお招きしたのは黒川家の方です」

黒川家の人間?

九条会長は驚いて佐伯葉月を見た。その目には衝撃と疑念が浮かんでいた。

以前、黒川家の人間を招こうとしたことがある。だが黒川家はまったく面子を立てず、規則通り順番を待てとまで言った。九条家を相手に、これほど尊大に振る舞う者には会ったことがない。

自分でさえ招けなかった人物を、佐伯葉月は本当に連れて来たというのか?

その時、高橋美咲もゆっくり目を細め、困惑の色を浮かべた。

佐伯葉月が言う黒川家の人間とは、まさか黒川善?

さっき黒川善をここで見かけた時は、自分の頼みで来たのだと思った。まさか佐伯葉月が招いた人だったとは?

黒川善は一体、何人の診察を引き受けたの?