Chapter 448
そのお金はどこから?(続き)
話を聞く限り、他の人が黒川善から買い取ることさえできなかった物を、高橋美咲は手に入れた。それだけでも、黒川善にとって高橋美咲が特別な存在だと分かる。
最初は近所のお兄さん、今度は黒川家の当主まで現れた。
九条凛はひそかに歯を食いしばった。兄がいつまでも隠れていたら、妻を奪われてしまう!
佐伯葉月と佐伯大輔は、高橋美咲が恥をかかなかったばかりか、皆から称賛までされているのを見て、言葉では言い表せないほど険しい顔になった。
佐伯葉月は何かに気づいたように、疑わしげに目を細めた。
この腕輪が本物で、「緑ヶ丘、蒼海」を最初に落札したのが黒川家なら、高橋美咲にそれを買えるほどの金があるかどうかはさておき、黒川家が彼女に売ったということは、高橋美咲は黒川家と何か関係があるのではないか。
そう考えた佐伯葉月は口を開いた。「高橋さん、その翡翠の腕輪は黒川家から買ったの?」
高橋美咲は佐伯葉月を冷ややかに見た。話の穴を探そうとしているのは、当然わかっていた。
黒川善を巻き込むわけにはいかない。そうすれば購入価格を追及され、さらに別のことまで根掘り葉掘り聞かれて、いつまでも終わらなくなる可能性が高い。
そこで高橋美咲は薄く笑って言った。「九条凛から買ったの」
「え?」九条凛は一瞬固まった。
高橋美咲がいつ自分から買ったというのだ。そんな話、まったく知らないのだが!
しかし九条凛はすぐに何かを察した。こういう場では、何もかも正直に話せばいいわけではないと、彼女にもおおよそ理解できた。
九条凛は慌ててうなずいた。「そう、そうよ! 私から買ったの。美咲は誕生日の贈り物が必要だと聞いて、私に腕輪を買ってくれないかと頼んだの。何か文句でもある?」
佐伯葉月の表情はこわばったが、それでも納得できずに言った。「でも、さっきその腕輪は黒川家のものだったって……」
「もう、しつこいわね! 黒川家がオークションで落札してから転売したって、おかしくないでしょう? 露木のおじい様が本物だとおっしゃったんだから、それで十分よ。どうしていつまでもこだわるの? いったい何がしたいわけ?」
九条凛にそう言われると、佐伯葉月はその場で言葉を失った。
まだ何か言いたそうだったが、佐伯大輔に視線で制され、ようやく不満げに口を閉ざした。
……
片隅で、佐伯葉月は悔しそうに高橋美咲をにらんでいた。
「お父さん! 高橋美咲にすっかり主役を奪われたわ。本当に腹が立つ! どうしてさっき私を止めたの? 高橋美咲にあんなものを買えるお金があるはずないのに」
「葉月、お前はまだ性急すぎる。高橋美咲にはQueenとしての顔もある。金を用意すること自体は、そう難しくない。そこにいつまでも食い下がれば、九条会長に心の狭い女だと思われかねない。別の角度から攻めたほうがいい!」
それを聞いて、佐伯葉月は次第に落ち着きを取り戻し、九条会長へ目を向けた。
そのとおりだ。
九条会長は自分をとても気に入っている。今すべきなのは、全力で彼の機嫌を取ることだった。
何しろ、今の九条家で本当の権力を握っているのは九条会長だ。ほかの者など大した存在ではない。九条家の大奥様がどれほど高橋美咲を気に入っていようと、九条会長の言うことにはおとなしく従うしかないのだ!
佐伯葉月は再び元気を取り戻した。
高橋美咲は九条家の大奥様の隣に座っていた。先ほど彼女が自分をかばい、皆の前で佐伯葉月に恥をかかせてくれたことを思い出すと、何か恩返しがしたくなった。
ちょうど黒川善も、九条蓮の祖父の具合を診ることをすでに承諾してくれていた。
そこで高橋美咲は言った。「お祖母様、昨日お話しした医師の友人が、お祖父様を診てくれることになりました。今度お時間のある日に、一緒に診察を受けに行きませんか?」
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