Chapter 443
彼女の正体、バレた?
周囲の令嬢たちと微笑みながら談笑していたが、上品なドレス姿の高橋美咲が目の前に現れた瞬間、顔色が一気に曇った。
なぜ高橋美咲がまだここにいるの?!
九条家の執事がさっき追い出したはずなのに、出ていないどころか、こんな華やかな姿で現れるなんて。どうやって入ったの?
佐伯葉月は高橋美咲の精緻なメイクを見つめ、その所作の一つ一つに言い表せない気品を感じた。普通の女の子のように気後れする様子はなく、むしろ堂々として優雅だった。
こんなふうに着飾って皆を驚かせて……九条蓮を奪うつもり?
その時、周囲の令嬢たちも我に返り、高橋美咲と九条凛について口々に話し始めた。
「うそ、あの人誰?すごく綺麗」
「二人ともなかなかだけど、見たことないわ。どこかの家のお嬢様で、留学帰りとか?」
周囲の評価を聞いて、佐伯葉月の表情はさらに険しくなった。
黒川翠は空気を読むのが早い。小さく鼻で笑い、「そんなに綺麗?だから何?家柄が良くなきゃ、どうせ親に適当に嫁がされるだけよ」と言った。
そして佐伯葉月に目を向けてお世辞を言う。「やっぱり葉月が一番よ。美人なだけじゃなく、あんな人と結婚できるんだから」
黒川翠の言葉に、佐伯葉月は気分がだいぶ晴れた。
高橋美咲と九条蓮が今どんなに親しげでも、こういう大きな家同士の結婚は自分たちで決められるものじゃない。全部、家同士の利害が一致してこそ成り立つもの。
今回、九条家の大旦那様が自分に目をかけたのも、佐伯家の力を評価したからだ。
でなければ、なぜ今日の誕生日会で、九条家の大旦那様がわざわざ自分と九条蓮の婚約を公表しようとするのか。
高橋美咲なんて何の価値もない。いくら着飾っても、どうせ最後は笑いものになるだけ。
そう思うと、佐伯葉月の心の不安も徐々に落ち着いてきた。
正妻の余裕を見せなきゃ。九条蓮ほどの男なら、今後もこういう女が寄ってくるに決まってる。最初の戦いは絶対に美しく勝たなきゃ!
…
時は一秒一秒と過ぎ、誕生日会は最高潮を迎えた。
高橋美咲と九条凛はしばらくホールにいたが、九条蓮の姿は一向に見えない。その代わり、会場には有名人の顔ぶれが多く、ますますこの誕生日会に疑念を抱いた。
明らかに、九条蓮の立場で開けるような誕生日会じゃない。
九条凛に直接聞くこともできるが、もし本当に嘘をついていたら、今聞いても絶対に本当のことは言わないだろう。
もう一度九条凛を見たが、彼女は何もやましい様子もなく、落ち着き払っている。
それがかえって高橋美咲をさらに混乱させ、心が揺れた。
自分の考えすぎなのか?
実は、九条凛は内心パニックだった。しかし高橋美咲がすぐ隣で見ているため、九条蓮に連絡もできず、勝手にその場を離れることもできない。
幸い、兄はまだ現れていない。
もしかして兄も高橋美咲が来ていることに気づいているのかも、と九条凛は少し安心した。
九条家の大旦那様の有能な補佐役、明さんがこの誕生日会の進行役も務めていた。
マイクを手に中央へ進み、二度ほど咳払いをしてから、よく通る声で言った。「ご来賓の皆様、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。それでは、いよいよ本日の主役をお迎えしましょう!」
明さんがそう言い終えると、陽気な音楽が流れ、皆が一斉に入口へと視線を向けた。
高橋美咲もすぐに雑念を振り払い、入口に集中して目を向けた。
誕生日会の主役……ここに九条蓮も現れるのだろうか?
もうすぐ彼の姿を見れば、「九条社長」が本当に九条蓮なのか、毎晩自分の隣で眠るあの人なのか、はっきりするはず。
来賓の拍手に包まれ、扉がゆっくりと開かれていった……
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