Chapter 426
九条家の大旦那様に隠れて高橋美咲に会いに行く
その言葉を聞いた九条家の大旦那様の顔色が、たちまち険しくなった。
無理に替える必要がないなら替えない方がいい、とはどういう意味だ。
つまり、妻は高橋美咲の味方をして、九条蓮の妻として認めたいということなのだ!
九条家の大旦那様は興奮気味に「お前!お前は……俺のことなんてもうどうでもいいのか?」と声を荒げた。
「もう、ただ一度会うだけよ。そんな大げさな話じゃないでしょ。どうしてそれがあなたのことをどう思ってるかって話になるの?」
「ごまかすなよ!」九条家の大旦那様は全く納得せず、不機嫌そうに鼻を鳴らして言った。「一度会ったら、今度は誕生日会に呼ぶんだろう?そうしたら、あの女がこの家に入り込んで、俺の頭の上で好き勝手し始めるに決まってる!」
九条家の大奥様は呆れたように「何を言ってるのよ、そんな馬鹿なこと」と返した。
高橋美咲を誕生日会に招待するかどうかは、実際に会ってから決めるつもりだった。
「本当に会いに行くつもりなのか?」と九条家の大旦那様は厳しい顔で尋ねた。
九条家の大奥様は困ったような顔をし、最後には逆に九条家の大旦那様に問い返した。「もう大阪まで呼んでしまったのよ。どんな子なのか、あなたは全然気にならないの?会ってみたいと思わない?」
実は九条家の大旦那様も少しは気になっていたが、絶対にそれを認めるつもりはなかった。
「ふん、あんな女、見る価値もない!」と九条家の大旦那様は怒りを込めて言った。「お前も会いに行くな。明後日の誕生日会で佐伯家との縁談を発表するって決めただろう。余計なことをしてくれるな。何かあったら九条家の面目丸つぶれだぞ!」
ここまで来ると、九条家の大旦那様はもう強引に押し切ろうとしていた。
だが九条家の大奥様には反骨心があり、こうして強く反対されるほど、ますます言うことを聞きたくなくなる。「私が呼んだって、何も起きやしないわよ。普通の女なら、そんな場で騒ぎなんて起こさないでしょ!」と鼻で笑った。
何を言っても反論されるので、九条家の大旦那様は怒り心頭。額の血管が浮き、胸の中の怒りは収まらなかった。
もう九条家の大奥様に構うのをやめ、背を向けて一人でふてくされてしまった。
どれだけ反対しても、九条家の大奥様は高橋美咲に会うつもりで、しかも誕生日会に招待する可能性も高い!
そして、皆の前で佐伯葉月が蓮の妻だと発表するつもりだが、その時あの女がどうやって皆を惑わせるのか見ものだと思っていた。
もちろん九条家の大奥様も、九条家の大旦那様がどれほど頑固かよく分かっていた。簡単に折れるはずがない。
そもそも彼女は、九条家の大旦那様が自分の言うことを聞くとは思っていなかった。もう心は決まっていて、絶対に高橋美咲に会いに行くつもりだった。自分一人で会いに行けばいいだけで、九条家の大旦那様が出てくる必要はない。
寝る前、二人は険悪なまま別れ、その夜は背中を向けてできるだけ離れて寝た。どちらも一言も口をきかなかった。
翌朝になっても、まだ口をきいていなかった。
リビングでは、九条家の面々が朝食をとっていた。
九条家の敷地は広く、四人の子どもたちそれぞれに独立した家がある。九条蓮の家族だけは普段東京に住んでいて、たまに九条家の大旦那様のもとに帰ってくるが、他の家族は一緒に暮らしていない。
だから、朝食をとっているのは数人だけだった。
九条凛は鋭い目で、九条家の大旦那様と九条家の大奥様が喧嘩したらしいことに気づいた。
彼女はふと昨夜聞いた話を思い出した。きっと兄の将来の結婚のことだろう。
朝食後、それぞれが自分の用事に向かい、九条家の大奥様は念入りに身支度を整えてから、高橋美咲に会いに出かけた。
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