Chapter 420
空港での偶然の遭遇
その時、客室乗務員が高橋美咲のもとにやってきて、申し訳なさそうに言った。「高橋様、大変申し訳ございません。この便はオーバーブッキングとなっており、お客様の座席にはすでに他のお客様が搭乗されております。ご不便をおかけし、心よりお詫び申し上げます。」
それを聞いた高橋美咲は、眉をひそめた。
航空会社は、どの便も最大限の利益を出すため、座席を無駄にしないよう時々オーバーブッキングを行う。
こういう場合、たいていは乗務員が誰かを説得して降機してもらい、後の便に振り替えることになる。
今回は高橋美咲がその「幸運な」対象だった。
もし運が悪く、後続便にも空席がなければ、変更もできず、泣く泣く払い戻しを受けるしかない。
予定が狂うだけでなく、気分も最悪になる。
大阪は国際都市で、常に座席の競争が激しい。高橋美咲も1週間前から予約して、ようやくチケットを取ったのだ。
今キャンセルされたら、もう新しいチケットは絶対に取れない。
高橋美咲は少し眉を寄せて、「どのように対応していただけますか?」と尋ねた。
客室乗務員は笑顔を崩さず続けた。「ビジネスクラスのお客様がご都合でキャンセルされましたので、無料でアップグレードさせていただきます。より良い座席や便、さらに相応の金銭的補償もご用意できますが、いかがでしょうか?」
それを聞いて、高橋美咲の張り詰めていた気持ちがようやく緩んだ。予定通り大阪に行けるなら、どんな対応でも受け入れられる。
それに、エコノミーからビジネスクラスへのアップグレードなら、サービスも座席も格段に良くなる。普通なら誰も断らないだろう。
だから彼女はうなずいて「大丈夫です」と答えた。
「お荷物はどちらにございますか?お運びいたします。」
スーツケースを受け取ると、高橋美咲は客室乗務員に案内されて前方のビジネスクラスキャビンへと向かった。
その頃、座席に座っていた九条凛は、ようやく安堵のため息をつき、体の力を抜いた。
さっきの出来事は本当に心臓に悪かった。でも、これで高橋美咲に完璧に気づかれずに済んだ。
ビジネスクラスは1列4席。九条家は前後の席を購入していて、九条凛と九条蓮は並んで座り、通路を挟んだ反対側の2席は空いていた。
この時、九条凛は少し運が良かったと感じていた。同じキャビンじゃなくて本当に助かった。もし同じだったら、完全に修羅場になっていたはずだ。
とにかく、飛行機が飛び立てば皆自分の席に座ったままだし、動き回ることもない。降りる時も九条家が先に降りるから、高橋美咲と鉢合わせることもまずない。
父や母にも、降機の際は絶対に高橋美咲に見つからないよう注意するよう念を押しておいた。
だが、安心したのも束の間、客室乗務員が高橋美咲を連れてこちらにやってくるのが見えた!!
九条凛は一瞬、頭が真っ白になった。
なんで!?どうして客室乗務員が高橋美咲を連れてくるの!?
九条凛は必死に九条蓮の袖を引っ張り、高橋美咲がこちらに向かってくると合図した。
高橋美咲は客室乗務員に案内されて指定された席に座った。彼女と九条蓮の間には通路を挟んでいるだけで、決して近くはないが遠くもない。何より、この距離では正体がバレてしまう!
その危機的な瞬間、九条蓮は九条凛の白いUVカットパーカーを引っ張って自分の頭に被せた。
隣の九条凛もほっと息をつき、帽子とマスクを着けてしっかりと顔を隠した。
九条凛はスマホを取り出し、九条家の家族4人だけのグループチャットにメッセージを送った。「緊急!緊急!お義姉さんが急に前の席に割り当てられて、すぐ近くにいる。みんな気をつけて。絶対にバレちゃダメ。」
九条真人:「了解。」
九条絵美里:「えっ?お嫁さんがこっちに来たの?わかったわかった、お父さんと私は絶対にうまく隠れるから、見つからないようにするわね。」
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