Chapter 416
高橋美咲を大阪に戻すべきか?
「あ、そうなんだ。私も用事があるから大丈夫だよ」高橋美咲は九条蓮のお祖母様からの電話を思い出した。
彼女は九条のお祖母様に、九条のお祖父様に自分を会わせると約束していた。しかも九条蓮には内緒にするよう念を押されていたので、「用事がある」としか言えなかった。ちょうど九条蓮が出張で助かった。そうでなければ、どう説明したらいいか分からなかった。
車が走り出すと、高橋美咲はさっきの出来事を嬉しそうに九条蓮に話し始めた。
最後に、感慨深げに「九条社長って、こんなに公平で見識のある人だったなんて。さすがリーダーになる人だね」と言った。
九条蓮「……」
高橋美咲の尊敬のまなざしを見ると、自分が水城圭介に手伝いを頼んだことで、すべての手柄と評判が水城圭介のものになってしまったようだ。
九条蓮は少し落ち込んだ。
でも、これ以上説明するわけにもいかず、結局黙って耐えるしかなかった。
……
前回、柳小路で何度も公開で恥をかかされて以来、柳小路はすっかり大人しくなり、高橋美咲の前で騒ぎ立てることもなくなった。
おかげで高橋美咲は、平和で幸せな日々を過ごしていた。
あっという間に大阪へ行く日が近づき、最近はお土産選びに頭を悩ませていた。
何しろ、九条蓮のお祖父様とお祖母様に初めて会うのだ。正式なご挨拶というわけではないが、やはり手土産は持っていきたい。
ピロン、と高橋美咲のスマホが鳴った。
送信者を見て、高橋美咲はすぐに背筋を伸ばし、緊張した面持ちになった。
母の入院先からの連絡だった!
すぐにメッセージを開くと、「高橋様、お母様の容態は最近かなり安定しています。わずかに反射的な反応も見られます。漢方治療を併用することをお勧めします。目覚める可能性があります」と書かれていた。
このメッセージを見て、高橋美咲は興奮した。
何度も何度も読み返し、ついに母の主治医に電話をかけた。
「高橋様」電話に出た相手は丁寧に挨拶した。
「方先生、今いただいたメッセージ、本当なんですか?」
信じたくないわけではないが、長い年月が経ち、母はもうこのまま目覚めないのだと思っていた。
それが今、母にまだ意識が戻る希望があると言われたのだ。まるで砂漠で水を得た旅人のように、暗闇で光を見つけた人のような気持ちだった。
「はい。ここ2日ほど検査を重ねた結果、沈さんの容態は以前よりかなり良くなっています。ただ、私たちの治療法には限界がありますので、そちらでも漢方治療を併用して神経を刺激し、早期回復を目指すことをお勧めします」
それを聞いて、高橋美咲はしばらく言葉が出ないほど感激した。
電話を切った後も、夢を見ているような気分が続いた。頬をつねると、しっかり痛みが伝わってきた。
夢じゃない。母に本当に目覚めるチャンスがあるんだ!
でも、方先生は漢方治療も併用するようにと言っていた。どこでそんな……
ふと、高橋美咲は動きを止めた。
そういえば、思い当たる人が一人いた。高橋家と完全に縁を切った時、大阪の人脈も交友関係もすべて断ち切った。名前を変えて遠くへ逃げる寸前だった。
今その人に連絡するということは、再び大阪の世界に戻ることを意味する。
本当に連絡していいのだろうか。
「お母さんに目覚める可能性が……」
病院の言葉が何度も頭の中で響き、高橋美咲の迷いは次第に消えていった。
長い間封印していた番号を着信拒否リストから取り出し、ダイヤルして、緊張しながら応答を待った。
高橋美咲は少し緊張していた。頭の中でぐるぐると考えが巡る。番号が変わっていたらどうしよう。あの時、何も言わずに去ったことを責められるだろうか。
美咲が不安に思っているうちに、電話がつながった。
低くて魅力的な声が向こうから聞こえてきた。「もしもし。」
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