Chapter 415
高橋美咲には手を出すな(続き)
電話がつながると、すぐに九条凛の声が聞こえてきた。「お兄ちゃん、今度の日曜はお祖母様の誕生日だよ。忘れてないよね?」
もちろん九条蓮は忘れていなかった。すでに水城圭介に頼んで、九条家の大奥様への高価なプレゼントも用意させていた。
「うん、忘れてないよ。」
「よかった。もしかして忘れてるかと思って、念のため連絡したの。」九条凛はそう言いながら、ふと思い出したように「そうだ、お兄ちゃん、美咲も一緒に連れて帰るの?」と尋ねた。
九条蓮は少し眉をひそめ、答えなかった。
本当は高橋美咲を九条家に連れて帰りたかった。
でも祖父の性格はよく分かっている。今はまだ祖父が高橋美咲にかなりの偏見を持っている。こんな状態で彼女を連れて行けば、きっと彼女が恥をかかされる。まずは祖父の偏見を解いてからでないと、紹介できないと思った。
しばらくして、九条蓮は困ったように「お祖父様は簡単じゃないから、今はこのままにしておこう」と言った。
「私もそう思う。お祖父様、あの頑固ジジイ、絶対いい顔しないもん。美咲に嫌な思いさせるのはやめた方がいいよ。」
九条蓮の目は少し陰りを帯びた。祖父は生来頑固だ。説得するのは本当に簡単じゃない。
「あ、そうだ!」九条凛が突然驚いたように声を上げ、「今気づいたんだけど、うちの家って高橋家と全然付き合いがないよね?毎年お祖父様やお祖母様の誕生日会にも、高橋家は一度も招待されたことないし!」
高橋家と九条家は、どちらも明らかに大阪の由緒ある名家だ。普通に考えれば、両家は何らかの付き合いがあって当然なのに、どうして今ではお互いに関わりを持ちたくないような関係になってしまったのだろうか。
九条蓮は眉をひそめた。彼も以前からこのことが気になっていた。
後で調べてみたものの、特に何も分からなかった。唯一はっきりしているのは、高橋家と九条家の仲が良くないということだけだった。
だが、高橋正人の態度を見る限り、そこまで険悪というわけでもなさそうだ。
となると、やはり問題はお祖父様にあるのだろう。昔から頑固で気難しい人だったし、ちょっとしたことで機嫌を損ねて高橋家と縁を切る、というのも十分あり得る話だ。
九条蓮は自分の考えを九条凛に話した。九条凛はそれを聞いて、さらに何かぶつぶつと呟いた。
その時、九条インターナショナルのビルから誰かが出てきた。九条蓮が目を上げて見ると、それは高橋美咲だった。彼は小声で「じゃあ、いったん切るよ」と言った。
さっき一連の出来事があった時、高橋美咲はすでに九条蓮に「少し遅くなるかもしれないから、待たずに先に帰って」とメッセージを送っていた。
高橋美咲は外に出てタクシーを拾って帰ろうとしていたが、九条インターナショナルの入口に九条蓮の車が静かに停まっているのを見て驚いた。
彼女は立ち止まった。
もしかして……九条蓮はずっとここで自分を待っていてくれたのだろうか?
少し胸が熱くなり、彼女は急いで駆け寄って車のドアを開けて乗り込んだ。「ずっと待っててくれたの?先に帰ってって言ったのに」
九条蓮は片手をハンドルに置いたまま、少し気まずそうに「そんなに長く待ってたわけじゃないよ」と答えた。
実際は、ずっとオフィスにいて、高橋美咲の用事が片付いたのを確認してから下に降りて車を回しただけだった。まさか高橋美咲が誤解するとは思っていなかった。
高橋美咲は時間を見た。すでに定時から4時間近く経っている。それでも「そんなに待ってない」と言うなんて。
九条蓮は本当に忍耐強い。思いがけないサプライズをくれた。
高橋美咲の申し訳なさそうな表情を見て、九条蓮はますます気まずくなり、軽く咳払いして話題を変えた。「今週末、2日ほど出張に行くかもしれない」
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