Chapter 413
次やったら即刻クビ
彼女が言い終わると、場内は静まり返った。
しばらくして、人々は柳小路の方を見始めた。
高橋美咲を狙う人物がいるとすれば、それは柳小路しかいない。何しろ、彼女はあらゆる手を使って高橋美咲を陥れようとしてきたのだから。
誰かが声を潜めてひそひそと話し始めた。
「どういうこと?なんで九条社長が高橋美咲を助けてるの?」
「そうだよね、柳小路って九条社長の彼女じゃなかった?普通なら柳小路の味方をするはずでしょ?」
「前から高橋美咲の素性はただ者じゃないって聞いてたけど、本当だったんだな。」
……
公衆の面前で恥をかかされた柳小路の顔色はひどく悪かった。不機嫌そうに「なんでみんな私を見るのよ!」と声を荒げた。
誰も軽々しく本当のことを推測する勇気はなく、しかも柳小路は九条社長の彼女だ。九条社長がまだここにいる以上、これ以上何も言えなかった。
だが、皆が視線を外しても、その奇妙な視線は柳小路に向けられ続け、軽いようでいて無視できない重さがあった。
ついに柳小路は耐えきれなくなった。
納得できずに、彼女は水城圭介のもとへ歩み寄り、不満げに甘えた声で言った。「ねえ、あなた、どうして他の人に彼女をいじめさせるの?私の立場がなくなっちゃうじゃない。」
もともと、九条社長に取り入ったことで、九条インターナショナルで好き放題できると思っていたのだ。
なのに今、九条社長は高橋美咲の味方をしている。それはどういう意味?まさか高橋美咲に気があるの?
そんな可能性を考えると、柳小路の目には嫉妬の色が浮かび、高橋美咲を見る目は今にも食い殺しそうな勢いだった。
水城圭介は柳小路の横暴な態度に、ただただ困り果てていた。
高橋美咲は九条蓮の女だ。自分ですら手出しできない相手だ。それに、柳小路が黒幕だということもすでに分かっている。たとえ彼女が自分の彼女でも、九条蓮が本気で怒れば、自分にも守りきれない。
水城圭介は困ったように言った。「九条インターナショナルは、権力やコネに頼って好き勝手できる場所じゃない。」
森川茉莉は九条社長がここまで公平だとは思っていなかった。
これなら九条社長が柳小路の肩を持つ心配はない。今回こそ、真実が明らかになり、自分たちの潔白も証明される!
そこで彼女は言った。「九条社長、先ほど黒幕には厳罰を下すとおっしゃいました。私たちの潔白が証明された今こそ、本当の犯人を探すべきではありませんか?」
そう言って、わざと柳小路の方をちらりと見た。
柳小路の顔は一瞬で真っ青になった。
さっき九条蓮がこの件を知ったときの態度を思い出し、水城圭介の心にも焦りが生まれた。
この問題をうまく処理しなければ、自分の立場すら危うい。
水城圭介と柳小路は付き合っているが、感情の土台はそれほど深くない。だからこそ、彼は冷酷にもなれる。
考えを巡らせた末、水城圭介の表情は厳しくなった。
彼は柳小路の手を振りほどき、きっぱりと言った。「柳小路は、作品の下絵を私的に改ざんし、同僚を陥れようとした。九条インターナショナルの規則に違反し、まったく職業倫理がなく、社内の秩序を乱した。よって、重大な懲戒処分と厳重注意とする。次に同じことをしたら、その場で即刻解雇だ!」
柳小路の目は驚きで大きく見開かれた。水城圭介が今言ったことが信じられなかったのだ。
自分がクビになるって言われた?!
本当はまだ何か言いたかったが、水城圭介はすでに背を向けてその場を去っていた。
場は完全に静まり返り、ようやく皆が何が起きたのか理解した。
「うわっ!九条社長、身内よりも正義を取ったってこと?」
「マジでカッコよすぎ!九条社長が身内をかばわないなんて、正直びっくりだよ。」
「身内って何よ?柳小路なんて、そもそも身内扱いされてないかもよ。」
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