Chapter 409
やはり細工されていた
やはり、本当に細工されていた!
顔を上げて柳小路を見ると、彼女は得意げな笑みを浮かべ、ただそこに立っていた。
柳小路の表情は、高橋美咲に気づかれたから何だというの、と言わんばかりだった。
その時、加藤千尋は待ちきれず、また急かした。「見たでしょ?証拠はここにあるのよ。高橋美咲、まだ認めないつもり?」
そして柳小路へ向き直り、言った。「柳さん、こんなふうに反省しない人なら、九条社長に報告しなよ。人を寄こしてもらって、この恩知らずな女、高橋美咲をきっちり懲らしめてもらえばいい」
実のところ、加藤千尋は柳小路が本当に九条社長から寵愛されているのか確かめたかった。
そうすれば、これから柳小路にどう取り入ればいいか判断できる。
加藤千尋の言葉を聞き、柳小路は彼女の腹に小さな企みがあると気づいた。目に思案の色が浮かんだ。
皆が自分を持ち上げてはいるものの、本当に九条社長を落としたとは信じていない者もいた。誰も口には出さないが、陰で何を考えているかはよく分かっている!
それなら、そんな人たちを嫉妬させてやればいい。
そこで柳小路は隣の者に言った。「今すぐ九条社長のところへ行って、高橋美咲が協力を拒んでいると伝えて」
「分かりました。すぐ行きます」
……
社長室。
水城圭介が、高橋美咲の件を九条蓮に報告していた。話し終えると、九条蓮の顔が急速に暗くなり、身震いするほどの冷気が四方から押し寄せた。
うわ、恐ろしすぎる。
高橋美咲は、どうしてこんなことに巻き込まれたのだろう?だが九条蓮の様子を見る限り、何か裏がありそうだ。決して表面に見えるほど単純な話ではない。
水城圭介は言った。「九条社長、この件自体はそこまで大事ではありませんが、処理を誤れば高橋さんの評判に響きます。人を使って、話を抑えましょうか?」
九条蓮は水城圭介を見上げ、尋ねた。「賠償を求めているデザイナーには連絡したか?」
最初にこの件を暴露したのは、業界で名の知れたデザイナーだった。その後、水城圭介が素早く動き、報道を抑えた。
するとそのデザイナーは九条インターナショナルへ連絡し、巨額の賠償を要求してきた。九条インターナショナルにとって、その程度の金額は問題ではない。普通の商取引上の争いなら、水城圭介が自分で処理していた。
だが今回は高橋美咲が関わっている。もし本当に賠償金を支払えば、事実だと認めることになる。
高橋美咲は九条インターナショナルの社長夫人だ。どうして、こんな不当な汚名を着せられるままにできるだろう。九条蓮の指示を仰がなければならなかった。
水城圭介は恭しく頭を下げて言った。「すでに連絡済みです。賠償金は一円たりとも欠けてはならない、そうでなければ記者に直接暴露すると言っています」
九条蓮の目が暗くなった。高橋美咲が高橋家の娘だと知った後、水城圭介に命じて、高橋家での彼女の過去をさらに詳しく調べさせた時のことを思い出した。その資料には、高橋グループ時代の高橋美咲について、何から何まで詳細に記されていた。
当時、高橋グループで何が起きたのか。あの事件のことも含めて。
もし今回認めてしまえば、高橋美咲にとって、また大きな打撃になるだろう。
その時、社長室の内線電話が鳴った。
九条蓮は受話器を取った。
井上勝の声が聞こえた。「九条社長、先ほどメゾン・ヴェルヌから人が来ました。高橋美咲が非を認めようとしないので、助けに来てほしいとのことです」
九条蓮を訪ねて来た者が、本人と直接会えるはずもない。井上勝がドアの前で止めていた。
すぐには承諾せず、九条蓮に確認する必要があるため、ひとまず戻るよう伝えたのだ。
それを聞き、九条蓮の目が急に暗くなった。「分かった」
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