Chapter 405
私は九条蓮のお祖母様です(続き)
九条家の大奥様はため息まじりにそう言い、まるで九条家の大旦那様がもうすぐ亡くなるので最後に高橋美咲に会いたがっているかのような口ぶりだった。
もし元気な九条家の大旦那様がそれを聞いたら、その場で飛び起きるかもしれない。
高橋美咲は、強く出られると絶対に譲らないタイプだったが、相手が優しく出てくるとどうしても心が揺らいでしまう。九条家の大奥様は最初から温かく接してくれて、最後に助けを求める時も本当に懇願するような態度だった。
そのせいで高橋美咲の心は何度もほだされ、どうしても断れなくなってしまった。
しばらく葛藤した末、高橋美咲はついに歯を食いしばって「……わかりました。ご住所を教えていただけますか?」と言った。
「まあ、ありがとう。今度の日曜日に来てちょうだい。後で住所を送るわね。」
「わかりました。」高橋美咲はうなずいた。
九条家の大奥様が訪問の時間まで指定してきたが、高橋美咲は病院の面会時間の都合だろうと考え、特に気に留めなかった。
電話を切る前に、九条家の大奥様はまだ不安そうで、何度も念を押した。「絶対に蓮には言わないでね。」
「はい、わかっています。」
通話を終えた高橋美咲は、少し物悲しい気持ちになった。
実のところ、高橋美咲は年配の人に対して本気で冷たくなれない。なぜなら、高橋家にいた頃、お祖母ちゃんがとても優しくしてくれて、どんなに美味しいものでも必ず自分の分を取っておいてくれたからだ。
ただ、母にあの出来事があった後、お祖母ちゃんもすぐに病気で寝込んでしまい、ほどなくして亡くなってしまった。
そのせいで高橋美咲は長い間ひどく落ち込んで、ようやく立ち直ったのだった。
当時、そのことさえも高橋正人は母のせいにしていた。母が悲しませたからお祖母ちゃんが病気になったのだと。お祖母ちゃんの葬儀の日、高橋家の実家に戻った時でさえ、玄関で止められて中に入れてもらえなかった。
その時、高橋花にもひどいことをたくさん言われ、「高橋家から出て行け、二度と顔を見せるな」とまで言われた。
高橋家やその家族のことを思い出すと、高橋美咲の目に冷たい光が宿った。
もういい。あの人たちはもう家族じゃない。高橋正人のことなんて、もう考える必要はない。
ピロン、と突然スマホが鳴った。九条家の大奥様から送られてきたメッセージには住所が記されていて、その場所はなんと大阪だった!
しかもそれは軽井沢の田園地帯、かなり人里離れた場所だった。
高橋美咲はもう何年も前に大阪を離れていたが、その大阪のエリアのことは決して忘れていなかった。そこには大きな湿地公園があり、近くには老人ホームや邸宅、病院などの施設もあったことを覚えている。
もしかして九条蓮のお祖父様が、あそこで入院しているのだろうか?
特に深く考えず、彼女は何気なくスマホのカレンダーを開いた。
スマホのカレンダーには日付のリマインダーが設定されていて、母親に会いに行ける日が表示されていた。最近東京に来てから、しばらく母親に会いに行っていなかった。
せっかく今回大阪に行くのだから、母親にも会いに行こうと思った。
それに叔父や叔母にも……
そう考えると、今回の大阪行きはどうしても外せない用事だと感じた。九条蓮に知られても、言い訳はいくらでもあるから怖くない。
ここ数日、高橋美咲は柳小路のスケッチの復元作業に取り組んでいた。
もともとデザインの腕は確かなので、スケッチの復元自体は難しくなかったし、ちょうど三日目で仕上げることができた。
その日出社すると、高橋美咲はメゾン・ヴェルヌの全社員の前で柳小路に復元したスケッチを手渡した。
「本当に仕上げたの?」柳小路は疑わしそうに見つめた。
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