Chapter 402
選挙へのエントリー
大阪、九条家本邸。
今日は九条家本邸に来客があった。
佐伯大輔が娘の佐伯葉月を連れて、九条家の大旦那様と九条家の大奥様を訪ねていた。リビングで一同が和やかに歓談している。
「九条家の大旦那様、こちらが私の娘の葉月です」と佐伯大輔が紹介し、佐伯葉月に目配せしながら小声で「葉月、ご挨拶しなさい」と促した。
「九条家の大旦那様、はじめまして。父からいつもご立派なお話を伺っておりました。本日こうしてお目にかかれて光栄です。想像通りのご威厳ですね」
佐伯葉月は控えめな笑みを浮かべ、さりげなく九条家の大旦那様を褒めた。立ち居振る舞いも上品で、まさに良家の令嬢そのものだった。
「威厳なんてとんでもない。ただの年寄りですよ」
「とてもお年寄りには見えません。父と同じくらいのお歳にしか見えませんし、本当にご謙遜ですね」
佐伯葉月が少し大げさに褒めると、佐伯大輔もすかさず相槌を打った。誰だって褒められて悪い気はしない。多少大げさでも、九条家の大旦那様の顔には自然と笑みが広がった。
九条家の大旦那様は静かに佐伯葉月を観察し、満足げにうなずいた。
東京にもこんな若い令嬢がいたとは思わなかった。大阪の令嬢たちと比べても遜色ない。今回九条蓮のために選んだこの女性、なかなか悪くない。
九条家の大旦那様が笑顔を見せたのを見て、佐伯大輔は佐伯葉月が気に入られたと察し、胸をなでおろした。
佐伯葉月は幼い頃から徹底的に教育され、すべては将来良い家に嫁ぐためだった。今こうして九条家に嫁げるなら、これ以上の幸運はない。
そう思いながら佐伯大輔は「九条家の大旦那様、先日お話しいただいた件ですが、葉月にも伝えました。本人も異存はありません…」
一度言葉を切り、「お二人に会う機会をいつごろ設けていただけますでしょうか。少しでも親しくなれるきっかけになれば」と続けた。
佐伯葉月はすでに九条蓮と顔を合わせていたが、あえて初対面という体で話を進めていた。九条家の大旦那様が直接段取りしてくれた方が都合が良い。
九条家の大旦那様はその言葉を聞いてしばし考え込んだ。
今の九条蓮は自分の意志を貫こうとしており、あの女と別れるくらいなら九条家を捨ててもいいとまで言い出している。
ここは自分が介入するしかない。
だが、九条蓮の頑固な性格はよく知っている。普通に呼び出しても絶対に来ないだろう。何か別の機会を利用するしかない。
ふと、九条家の大旦那様はあることを思いついた。
「来週は絵美里の誕生日会がある。お二人でいらっしゃい。その時に段取りしよう」
絵美里は九条家の大奥様、九条絵美里の愛称だ。佐伯大輔はすでに九条家の大奥様の誕生日会の準備について耳にしており、その際に豪華な贈り物を用意しようと考えていた。
最初は普通の食事会で九条蓮と会うものと思っていたが、まさか九条家の大旦那様から直接誕生日会に招待されるとは思わなかった。
もし誕生日会に出席し、九条家の大旦那様が自分たちを明らかに優遇すれば、それは佐伯葉月が将来の孫嫁であると公に示すようなものだ。
そうなれば、自分も九条家の未来の親族として一躍注目の的となり、その後は出世街道まっしぐらだ。
佐伯大輔は満面の笑みで「ありがとうございます。必ず素晴らしい贈り物を持参いたします」と何度も頭を下げた。
しばらく歓談した後、佐伯大輔と佐伯葉月はようやく席を立ち、九条家本邸を後にした。
車に乗り込むと、佐伯大輔は真剣な表情で「葉月、この大奥様の誕生日会は何よりも大事だ。君の実力を見せる絶好のチャンスだから、絶対に気を抜くな、わかったな!」と念を押した。
佐伯葉月もその重要性を十分理解しており、何度もうなずいて「わかりました。しっかり準備します」と答えた。
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