Chapter 391
拒絶(続き)
あの時は怖くて断った。理由を説明しても九条悠真はとても怒り、その後二週間も無視された。結局、自分が悪いと思って先に謝り、仲直りしたのだった。
謝った後も、しばらくは機嫌が悪く、冷たい態度を取られ続けた。
でも九条蓮は怒るどころか、感情も安定していて、一切責めることもなかった。
本当にいい人だ!
高橋美咲は頭の中の雑念を振り払い、テーブルに座って一緒に朝食をとった。
食事を終えると、九条蓮は高橋美咲を会社まで送ってくれた。
高橋美咲はすでに森川茉莉から、桜井奈緒と九条悠真が解雇されたことを聞いており、その知らせにとてもスッキリした気分になった。
九条社長は本当にいい仕事をしてくれた。
これからは、あの気持ち悪い九条悠真の顔を見なくて済む。それだけでも自分にとっては良いことだし、仕事のやる気もぐんと上がった。
会社に入ると、柳小路の周りに人だかりができているのが見えた。
「柳小路さん、これからは私たちのことよろしくね!」
「何があっても、私たちは仲間だよ。九条インターナショナルの奥様になったんだから、私たちのこと忘れないでね!」
「そうそう、柳小路さん、前に何度もご馳走したし、私たち一番仲良しだから、私のことも忘れないでよ。」
高橋美咲が通り過ぎるとき、そんなお世辞の声が耳に入った。
その中にいくつかのキーワードを鋭く聞き取った。
九条インターナショナルの奥様?
柳小路のことを言っているの?
さっきまで九条社長が九条悠真をクビにしてくれてよかったと思っていたのに、今度は柳小路が九条蓮の女になって奥様気取りで振る舞っているのを見て、一気に嫌な予感がした。
あの女が権力を持ったら、きっと自分にいろいろ嫌がらせをしてくるに違いない。
今のうちに心の準備をしておかないといけないな。
その時、柳小路が高橋美咲の姿を見かけた。腕を胸の前で組み、目には軽蔑の色がよぎり、小さく鼻で笑った。
高橋美咲も当然その表情に気づいたが、柳小路のことなどまるで気にせず、そのまま通り過ぎて自分の席に戻った。
高橋美咲が去ると、メゾン・ヴェルヌの社員たちはすぐに柳小路の周りに集まり、口々に言い始めた。「高橋美咲が“クイーン”だろうと、今は柳小路さんが九条インターナショナルの奥様なんだから、将来あの人を辞めさせたいと思えば、素直に荷物まとめて出ていくしかないでしょ?」
「そうそう、柳小路さん、あんなの気にしないで。」
「今でも自分がすごいとでも思ってるんだろうけど、柳小路さんの方がずっと格上だよ。」
柳小路は軽く笑い、顔にはあからさまな侮蔑の色が浮かんでいた。
もちろん高橋美咲のことなど眼中になかった。あんな女、自分と同じ土俵に上がる資格すらない。
この三連休の間、彼女は九条徹にひたすら気を遣い、ついに彼の心を掴んで交際を承諾させることに成功したのだ。
今や自分は九条徹の女!
彼女はさりげなく九条徹に高橋美咲との関係を探りを入れてみた。
九条徹は「高橋美咲とは何の関係もないし、どうやってメゾン・ヴェルヌに入り取締役になったのかも知らない」と答えた。
これからはメゾン・ヴェルヌは自分の天下だ!
新作発表会で高橋美咲に恥をかかされたこと、絶対にこのままでは済ませない。見ていればいい。
「高橋取締役、もう聞いてますよね?」高橋美咲が席に着いたとたん、森川茉莉がそっと身を寄せてきて、心配そうに話しかけてきた。柳小路が九条インターナショナルの奥様になることを明らかに気にしている様子だった。
「柳小路のこと?」と高橋美咲が目を向ける。
「うん。柳小路さん、まるで勝ち誇ったみたいに歩いてるし、絶対何か仕掛けてくる気がするから、気をつけてね。」
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