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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 374 - 九条悠真と九条沙耶香が訪ねてくる(続き)

Chapter 374

九条悠真と九条沙耶香が訪ねてくる(続き)

九条悠真は過去の温かい思い出で彼女の心を揺さぶろうとしていた。

だが高橋美咲には、ただ滑稽にしか思えなかった。

あの頃、実家を出て生活水準が一気に下がったから、安い屋台街が好きだったのは事実だ。

でも毎回、九条悠真は「汚い」「自分の格に合わない」と文句ばかり言っていた。それなのに今さら懐かしそうな顔をするなんて、どれだけ図太い神経なのかと呆れるしかなかった。

九条悠真は高橋美咲を見つめ、「美咲、今回は俺たちが間違った道を選んだ。でも、もう自分の過ちに気づいたんだ。本当は桜井奈緒に誘惑された時も、君と別れたくなかった。ただ、彼女に嘘をつかれて……」と力強く言った。

高橋美咲の目が細くなった。

桜井奈緒に嘘をつかれて、高橋家の娘だと誤解したから、彼女に従ったというのか。

卵にヒビがなければハエは寄らない。

別れて初めて、九条悠真が全く大した男ではなかったと気づいた。

九条悠真は後悔に満ちた顔で、低い声で「どうしてこんなことになったのか、自分でも分からない」と呟いた。

「今までのことは、ただの一時の気の迷いだった。今になってようやく、本当に一番愛しているのは君だと気づいた。もう一度だけ、チャンスをくれないか?」

高橋美咲は冷たく笑った。「自分がどうしてここに来たのか分からないの?Googleマップでも見れば?私が教える必要ある?」

九条悠真の長い言葉に対し、高橋美咲が返したのは、ただ一言の容赦ない言葉だった。「ごめんなさい、チャンスをあげる気はないわ。」

その声は冷たく、心の中と同じように無慈悲だった。

九条悠真は、もはや高橋美咲の心に何の波紋も起こせなかった。彼は、死んだ元恋人と同じ。お互いの幸せを願って、きっぱり忘れ去るべき存在だ。

元恋人としてふさわしいのは、自分の墓の中で静かにしていること。暇さえあればゾンビのように蘇ってくるものじゃない。

九条悠真はあれだけ話したのに、高橋美咲が何か言うと思っていた。

怒るなり、罵るなり、何かしら感情を見せてくれると思っていたのに、彼女は何も感じていないように、容赦なく拒絶しただけだった。

九条悠真は眉をひそめ、さらに続けた。「まだ桜井奈緒と俺が切れてないのが心配なのか?心配いらない。もう彼女とはきっぱり縁を切る。これからは……」

九条悠真が言い終える前に、鋭い声が背後から響いた。

「高橋美咲!あんたは私の九条悠真を奪っただけじゃなく、今度は彼に私と縁を切らせようっていうの?バチが当たるのが怖くないの?」

その声を聞いて、高橋美咲は後ろを振り返った。

いつの間にか桜井奈緒が現れていた。彼女は怒りに満ちた顔で高橋美咲を睨みつけ、まるで仇敵を見るような目だった。

桜井奈緒は妊娠を明かしてから、ずっと九条悠真が来るのを待っていた。

その後、九条悠真の動向を見張らせていた人から、彼がすでに外出したと聞かされた。

彼女は大喜びで、九条悠真が心変わりして病院に来てくれるのだと思い込んでいた。まさか高橋美咲の元へ向かったとは夢にも思わず、自分の男を奪われるのを黙って見ていられるはずがなかった。

だから、他のことなど気にせず、すぐにここまで駆けつけてきたのだった。

桜井奈緒はまだ平らなお腹に手を当て、涙声で言った。「悠真、私はもうあなたの子をお腹に宿してるのよ。どうして病院に来てくれないの?これは私たちの初めての子よ。あなた、子どもが欲しいって言ってたじゃない。」

目の前の桜井奈緒を見て、九条悠真は心底うんざりした。

顔を険しくし、歯を食いしばって言い放つ。「よくそんなことが言えるな?その腹の子が誰のものかなんて分からないだろ。もしかしたら柏木健人のガキかもしれないだろ!」