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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 373 - 九条悠真と九条沙耶香が訪ねてくる

Chapter 373

九条悠真と九条沙耶香が訪ねてくる

「美咲……」

九条悠真の声を聞きながら、高橋美咲は嫌悪感がこみ上げてきた。今度は一体何を企んでいるのか、全く見当もつかない。こんな時こそ、桜井奈緒と揉めているはずなのに、なぜまた自分の前に現れるのか理解できなかった。

「美咲、君がドアを開けてくれないなら、ずっとここで待つからな!君が開けるまで待ち続ける!」

九条悠真は固く閉ざされたドアを見つめ、怒りを募らせていた。高橋美咲がここまで自分を無視するとは思ってもみなかった。本当にここまで冷たく、非情になれるのか。

彼はすでに高橋美咲が今、この一軒家で一人暮らししていることを突き止めていた。

だからこそ、九条沙耶香を連れて堂々とここにやってきたのだ。高橋美咲が他の男と何をしようと、本当はどうでもよかった。一番大事なのは、高橋美咲が高橋家の娘であるということだった。

一軒家の中で、高橋美咲は外の騒がしさにうんざりしていた。

警察に通報して二人を迷惑行為で訴えようとしたが、ふと何かを思い出し、すっかり冷静になった。

今ここで解決しても、また次があるかもしれない。九条悠真の性格を考えれば、絶対に簡単には引き下がらないだろう。それなら、いっそ話を聞いて、この厄介ごとに終止符を打った方がいい。

冷たい表情を浮かべ、彼女はドアを開けた。

高橋美咲がドアを開けたのを見て、九条悠真の顔に喜びが浮かんだ。すぐに前に出て、「美咲、やっと開けてくれたんだな」と言った。

「何の用?」高橋美咲は警戒した目で彼を見た。

「美咲……」九条悠真は優しく呼びかけ、切なげな眼差しで高橋美咲を見つめた。知らない人が見れば、彼が本当に高橋美咲を想っているかのように見えるだろう。

その気持ち悪い視線を前にしても、高橋美咲の表情は微動だにしなかった。

腕を組み、「もう遅いし、九条さん、用があるなら手短にしてください。今日は一日中忙しくて、とても疲れているんです」と言い放った。

九条悠真の顔が曇った。「美咲、前のことは俺が悪かった。まだ俺を責めているのか?」

その後ろから、九条沙耶香が慌てて前に出てきた。「そう、私も悪かったの。まさか悠真が桜井奈緒みたいな女に惑わされるなんて思わなかったし、私も悠真をきつく叱ったわ。彼も自分の非を認めてる。美咲、どうか悠真を許してあげて」

高橋美咲は眉をひそめた。二人は謝罪しに来たのか。

てっきりまた嫌がらせに来たのかと思っていた。

でも九条悠真を許す?何を考えているのか。自分がどれだけお人好しだと思っているのか。

高橋美咲が黙っていると、九条沙耶香はいつもの高飛車で傲慢な態度を捨て、今は卑屈で哀れな様子を見せていた。声を詰まらせながら、「美咲、まだ私のことを恨んでるの?もし許してくれないなら……」

九条沙耶香は一度言葉を切り、ついに覚悟を決めて、「だったら、私、土下座して謝るわ!」と絞り出した。

美咲を取り戻し、悠真が今後もっと得をするためなら、九条沙耶香は高橋美咲に頭を下げてでも構わないと思っていた。

桜井奈緒の正体が明るみに出てから、九条沙耶香の社交界での評判は地に落ちていた。

今や失ったものを取り戻すには、高橋美咲の力を借りるしかなかった。

高橋美咲は九条沙耶香を見つめ、目に嘲りの色を浮かべた。

ここまでのことがあっても、何事もなかったかのように平然と謝罪を演じられるその神経の太さに呆れた。

このタイミングで、九条悠真もすかさず言葉を重ねた。

彼は大きくため息をつき、高橋美咲を見つめながらゆっくりと言った。「昔はあんなに仲が良かったよな。仕事帰りに一緒に屋台街で何か食べるのが君の一番の楽しみだった。あの通りの端っこの焼き芋屋が、君のお気に入りだったよな……」