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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 372 - あなたの娘は高橋美咲

Chapter 372

あなたの娘は高橋美咲

もともと高橋美咲と一緒にいれば、今ごろ自分は高橋家の婿になっていたはずだ。だが彼は高橋美咲を捨て、桜井奈緒に取り入ろうとした結果、何も得られなかった。

今や高橋美咲にはすでに新しい相手がいる。彼女にとって自分はもう何の価値もない存在だ。

考えれば考えるほど、九条悠真は後悔の念に苛まれた。桜井奈緒の嘘を信じてしまったこと、チャンスを逃したこと、すべてが間違いだった。

九条沙耶香もまた、太ももを叩きながら激しく後悔した。

どうして高橋美咲が突然高橋家の娘になったのか分からない。もしあの時、高橋美咲が高橋家の娘だと知っていれば、絶対に悠真と付き合うのを反対しなかったのに。

「悠真、今からでも遅くないわよ。間違えた相手だったんだから、今からでも追いかけ直せばいいじゃない。」

九条悠真は眉をひそめた。「でも今の彼女は……」

今や高橋美咲の周りには男がたくさんいる。自分なんて、もう彼女にとって何の意味もない。

なぜか、そう気づいた瞬間、九条悠真の気分は最悪になった。

ふと、九条家軽井沢別邸での出来事を思い出した。あの時、高橋美咲に自分と一夜を共にしたと誤解させたことが、唯一の切り札だ!

「母さん、俺、どうすればいいか分かった。」

そう言うと九条悠真は九条沙耶香に向き直り、「俺がもう一度高橋美咲を追いかけるから、母さんはもう彼女に意地悪しないでくれ」と言った。

あの頃、九条沙耶香は高橋美咲を気に入らず、何度も冷たい態度を取っていた。

高橋美咲の機嫌を取るために、九条悠真は何度もフォローした。今、九条沙耶香が協力しなければ、どうにもならない。

「分かってるわ!母さん、ちゃんとやるから。高橋美咲が高橋家の娘なら、あなたを出世させてくれるなら、私、何だってするわよ!」

九条悠真の目が鋭くなり、ある考えが浮かんだ。

口元には自信に満ちた笑みが浮かび、「今から高橋美咲がどこにいるか調べてくる。母さんも一緒に謝りに行こう。絶対に彼女の気持ちを変えさせるんだ!」と言った。

高橋美咲は一戸建てに戻ると、その日の疲れを洗い流した。

ベッドに横たわると、もう倒れそうなほど疲れていた。

今日は色々なことがうまくいかず、対応に追われて気が休まらなかった。

だが一番疲れているのは、きっと九条悠真と桜井奈緒だろう。

そう思いながら、再びニュースを開き、今日の続報をチェックした。すると、桜井奈緒が妊娠しているうえ、記者を連れてきて九条悠真に無視されたと泣き叫び、大騒ぎしていた。

九条悠真と桜井奈緒は、まだしばらく揉め続けるだろう。

あの二人は、もう自分のところには来ないはずだ。

スマホの電源を切って寝ようとしたその時、一戸建てのインターホンが突然鳴った。

高橋美咲は目を細めて不思議に思った。誰が来たのだろう。九条蓮だろうか?

もうベッドに入っていたので、高橋美咲は動くのが面倒だった。

そこでスマホを手に取り、九条蓮にメッセージを送った。「また戻ってきたの?何かあった?」

返事はなかった。どうやら九条蓮はスマホを見ていないようだ。

インターホンはしつこく鳴り続け、出るまで止まる気配がなかった。

仕方なく、高橋美咲は起き上がり、コートを羽織って階下へ降りていった。

さっきまで九条蓮だと思い込んでいたので、事前に確認もしなかった。だが、玄関で九条悠真と九条沙耶香の顔を見た瞬間、高橋美咲の表情は一気に険しくなった。

九条悠真が何か言いかけるより早く、高橋美咲は迷いなく、きっぱりと玄関のドアを閉めた。彼女には九条悠真と話す気など、微塵もなかった。

インターホンが鳴り続け、外から九条悠真の声が聞こえてきた。

「美咲、ドアを開けてくれ。話があるんだ!」

「開けてくれないか?」