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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 370 - 美咲、戻ってきてくれる?(続き)

Chapter 370

美咲、戻ってきてくれる?(続き)

その瞬間、奈緒の顔から喜びが消えた。九条悠真は、全く電話に出る気がないのだ。

涙を流しながら、奈緒は何度も何度も九条悠真に電話をかけ続けた。まるで取り憑かれたように、繋がるまで絶対に諦めなかった。

そんな奈緒を見て、陽子は思わず「高橋マネージャー、お医者さんが今は流産の兆候があるから安静にって……」と声をかけた。

「うるさい!」奈緒は目を赤くして、「絶対に悠真に繋がらなきゃ。この子を捨てるなんて許さない」と呟いた。

だが、どうしても電話は繋がらなかった。

その時、奈緒はふいに陽子を見上げて尋ねた。「さっき言ってたけど、記者たちが病院の外に集まってるの?」

「はい、みんな外で待機してます。もし抗議の人たちが入口を塞いでなかったら、もう中に押し入ってきてたと思います。」

陽子は、病院に警備がいて記者が入れないのは幸いだと感じていた。もし入ってきていたら、奈緒はすでに囲まれていたはずだ。

だが、奈緒はその言葉を聞くと、目に決意の色を浮かべた。

歯を食いしばり、「今すぐ外に行って、私が妊娠してるってリークしてきて。これで九条悠真が出てこないはずがない!」と命じた。

奈緒の強い決意を前に、陽子は仕方なくその場を離れた。

桜井奈緒の偽お嬢様騒動が明るみに出た直後、今度は九条悠真の子を妊娠しているというニュースが一気に広まった。

その瞬間、世間の注目はさらに高まった。

九条悠真と九条沙耶香は自宅でニュースを見ていたが、二人ともひどく険しい表情を浮かべていた。沙耶香は不満げに言った。「あの女、本当に妊娠してるの?今さら記者にそんなこと言うなんて、どう考えても悠真に責任取らせるつもりじゃない!」

九条沙耶香は昔から成り上がり志向が強かった。最初に桜井奈緒を認めたのも、高橋家の娘という肩書きがあったからにすぎない。だが、桜井奈緒が高橋家の娘でないと知った今となっては、悠真に彼女と結婚してほしいとは思わなくなっていた。

今日のメゾン・ヴェルヌの新作発表会で起きた出来事は、沙耶香にとって社交界での大きな恥となった。

これからしばらくは、周囲の嘲笑に耐えなければならないだろう。

だが桜井奈緒の件をこのまま放置すれば、悠真の評判にとっても極めて悪い。かといって今さら桜井奈緒と結婚させられるのも、沙耶香には我慢ならなかった。

「あんな女の腹の子なんて、俺の子かどうかも分からないだろ!絶対に責任なんて取らない!」悠真は怒鳴り、顔を真っ赤にしていた。

桜井奈緒のあの動画を思い出すだけで、悠真の血圧は上がった。

あの女を絞め殺してやりたいくらいなのに、今度は腹の子の責任まで取れって?

冗談じゃない!

沙耶香も悔しそうに歯ぎしりし、「悠真、これからどうするつもり?偽物の成り上がりなんて絶対に嫁にしてほしくない。昔はあの女が出世の役に立つから結婚もありだったけど、今や偽物よ。そんな女とまだ結婚するなら、頭がおかしいわ!いっそ高橋美咲と結婚したら?」と吐き捨てた。

何しろ高橋美咲にはまだQueenの肩書きがあり、Queenを崇拝する人も多い。桜井奈緒なんかより、よほどマシだと思ったのだ。

悠真の顔色はさらに暗くなり、「もちろん結婚なんてしない」と言い切った。

だが沙耶香の言葉に従って考えてみると、最近の高橋美咲の変化も思い出され、もし花嫁を高橋美咲に変えたら、それも悪くないかもしれないと思い始めた。

その時、悠真は少し心が揺れた。

沙耶香は苦々しげに言った。「結婚式の準備もほとんど終わってるし、招待状も全部出したのに、こんなことになって……私たち、みんなの笑い者じゃない。」