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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 37 - 最近お医者さんにかかった?(続き)

Chapter 37

最近お医者さんにかかった?(続き)

今日の彼の態度は本当におかしかった。いったい何をそんなに忙しくしているのだろう。

考えても仕方ないので、気持ちを切り替えた。

高橋美咲は一日中作業に没頭し、ようやく下絵の三分の一を完成させた。

夕方、仕事が終わると、一台の車が彼女の前で止まった。窓がゆっくり下がり、端正で印象的な顔が現れる。

九条蓮だった。

高橋美咲は口元に微笑みを浮かべ、車のドアを開けて助手席に乗り込んだ。

「どうしてここに?」

九条蓮は淡々と答えた。「たまたま仕事帰りに通りかかったんだ。」

彼は車を発進させた。車窓の景色がどんどん後ろへ流れていく。高橋美咲は窓を開け、頬をなでる優しい風に心がほぐれていくのを感じた。

東京に来てから、辛くて息苦しいことばかり続いていた。でも今、少しずつ状況が良い方向に動き始めている。

ほんのひととき、高橋美咲はこんな日常に静かな幸せを感じた。毎日自分の仕事を終え、そして隣には仕事帰りの彼が迎えに来てくれる。

二人は帰り道に市場へ立ち寄った。

この時間の市場は人でごった返していた。台車を押した人が近づいてきて、高橋美咲にぶつかりそうになったが、彼女は食材選びに夢中で気づかなかった。

九条蓮が手を伸ばして高橋美咲を引き寄せた。「気をつけて。」

本当にこの人は無防備だ。

お腹に子どもがいること、分かっているのか?

高橋美咲はそのまま彼の腕の中に倒れ込んだ。男の涼やかで清潔な香りを感じて、ようやく我に返る。

すぐに「ありがとう」と礼を言った。

その後も九条蓮はずっと高橋美咲を気遣い、誰にもぶつからないように守ってくれた。その様子に、高橋美咲の胸は不思議なときめきで満たされた。

九条蓮は本当に気配りのできる紳士だった。以前、九条悠真と付き合っていた頃、悠真はこんなことをしてくれたことは一度もなかった。

翌日、九条蓮は高橋美咲を九条インターナショナルまで車で送った。彼は車を発進させるふりをしたが、実際には人目を避けて大きく迂回し、裏口から九条インターナショナルの駐車場へと入った。

エレベーターで上階に上がると、九条蓮は床から天井まである大きな窓越しに下で働く高橋美咲の姿を見つけた。彼女は真剣な表情で作業に没頭していた。

九条蓮の口元に、本人も気づかないほどの微かな笑みが浮かんだ。

下では、高橋美咲が防護具を身につけ終え、足場に登っていた。

普段彼女が請け負う仕事は、個人の一戸建てが多く、高さもせいぜい2メートルちょっと。ロフト付きの家で足場を組む場合でも、せいぜい3メートル程度だった。しかし九条インターナショナルの外壁は、非常に広くて大きい。

今回の高さは、普段の倍以上もあった。こんな高所に立つには、相当な覚悟がなければとてもやっていられない。

幸い、高橋美咲には豊富な経験があった。集中して絵を描き始めれば、すぐに夢中になり、恐怖心など感じなくなるのだ。

高橋美咲が板の上に足を踏み入れた瞬間、かすかなきしみ音がした。彼女の体が一瞬固まり、眉間にしわが寄る。

何か、少しおかしい……。

バキッ!

足元の木の板が突然真っ二つに割れた。支えを失った高橋美咲は、そのまま足場から真っ逆さまに落下した!

体に着けていた安全帯が少しだけ落下を和らげたが、すぐにピンと張って切れてしまい、そのまま下へと落ちていった。

「高橋美咲!」

高橋美咲を見ていた九条蓮の心臓が、突然締め付けられるように痛んだ。全身の血が凍りつくような感覚に襲われ、焦燥感に駆られて全速力で階段を駆け下りた。

高橋美咲は地面に激突しそうになった瞬間、素早く反応して木片をつかみ、落下の勢いを少しだけ殺した。

だが落下速度が速すぎて、手が激しく引っ張られ、結局つかまりきれずに地面に激しく叩きつけられた!