Midnight FableMidnight Fable

裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 363 - 公衆の面前で仮面を剥がす(続き)

Chapter 363

公衆の面前で仮面を剥がす(続き)

そういうことか!

高橋正人は九条沙耶香の言葉を聞いた時点で既に表情が険しくなっていたが、九条蓮の言葉を聞いてさらに冷たく厳しい顔つきになった。

さっきから事態は彼の予想を超えて進んでいた。

そして今、九条蓮の口から九条悠真の真相を初めて知ったのだ。

さらに桜井奈緒が自分の娘になりすまし、高橋家のお嬢様を装って多くの利益を得ていたこと、高橋美咲がどれほど理不尽な目に遭ってきたかも。

桜井奈緒は、まさかこの場で九条蓮に自分の正体を暴かれるとは思ってもいなかった。顔色が一気に真っ青になり、完全にパニックに陥った。

終わった。全てが終わった……。

九条沙耶香は桜井奈緒の異変には気づかず、ただ九条蓮の言葉を聞いて、九条悠真が女に頼って成り上がったことを嘲られたと感じた。

屈辱で顔が熱くなり、ここまで九条悠真のことを調べ上げていたとは思わず、すぐに怒鳴った。「誰か、この男をつまみ出しなさい!」

それを聞いても、九条蓮は九条沙耶香の罵声を静かに見つめるだけで、彼女が人を呼び始めると、目に嘲りの色を浮かべてまったく動じなかった。

だが高橋美咲は黙っていなかった。このおばさんが自分の男に手を出すなんて許せない。

たとえ彼の地位が平凡で九条沙耶香には及ばなくても、彼は自分の彼氏であり、正式に婚姻届を出した夫なのだ。

自分を狙うのはまだしも、このおばさんに九条蓮を追い出させるなんて絶対に許さない。

高橋美咲は九条蓮の前に立ち、九条沙耶香を冷たく見据えて言った。「九条さん、今日はメゾン・ヴェルヌの新作発表会です。あなたが感情をぶつける場所じゃありません。たとえ九条悠真さんのお母様でも、メゾン・ヴェルヌの社員じゃない以上、勝手に人を追い出す権利はありません」

九条蓮は自分の前に立ち、身を挺して守ろうとする小柄な女性を見て、胸の奥がふっと和らいだ。

彼は手を伸ばして高橋美咲を自分の隣に引き寄せ、優しい声でなだめた。「心配しないで。ここは僕が何とかする。少し離れて待ってて」

高橋美咲はその言葉を聞いて、九条蓮のことがとても素敵だと思いながらも、つい小声でつぶやいてしまった。

何とかするって?九条沙耶香は九条悠真の母親だし、彼みたいな小さな運転手とは比べものにならない。

九条蓮がこんなふうに出ていったら、まるで卵で石を打つようなものじゃないの。

「権利がないですって?」九条沙耶香は鼻で笑い、高橋美咲を鋭くにらみつけた。「今すぐあんたを追い出してやることだってできるのよ!」

そう言い放つと、後ろに控えていた係員たちに怒鳴りつけた。「何を突っ立ってるの!早く来て、この二人を追い出しなさい!」

しかし、後ろのスタッフたちは一斉に前に出てきたものの、九条蓮の方へは向かわず、九条沙耶香の両脇に立って腕をつかみ、彼女を取り押さえた。

九条沙耶香は一瞬呆然としたが、すぐに激しくもがきながら怒鳴り続けた。「何してるのよ!耳が聞こえないの?この男を追い出せって言ってるでしょ!」

周囲の人々は、九条沙耶香が取り押さえられる様子に驚き、すぐにひそひそとささやき合い始めた。

近藤夫人は、彼女が恥をかく様子に思わず喜びを隠しきれなかった。

さっきまでは、九条沙耶香が自分たちを連れてきてひどく辱めるつもりだと思っていたのに、結局恥をかいたのは九条沙耶香の方だった。

九条悠真は母親が人前で取り押さえられるのを見て、顔色が一気に険しくなった。

これはまさに自分への公開の侮辱だった。もし今日、九条沙耶香が本当に追い出されたら、もう義父の前で顔を上げて歩けなくなる。

それに、運転手の前でこんな屈辱を受けるなんて絶対に許せない。

九条悠真は顔を真っ赤にして九条蓮をにらみつけ、冷たく言い放った。「ここはお前が仕切る場所じゃない。母さんを今すぐ離せ!」