Chapter 361
残念だけど、期待外れだったみたい
その時、九条沙耶香が数人のマダムたちと一緒に桜井奈緒の元へやってきた。
桜井奈緒は次々と打撃を受け、自分の問題にもまだ対処できていないのに、九条沙耶香が手を取って優しげに微笑みかけた。「奈緒さん、さっき近藤夫人とあなたの話をしていたの。あなたが義理の両親に頼んで悠真くんのために新しいプロジェクトを取ってきたって。本当かどうか、近藤夫人に教えてあげて。」
その言葉を聞いて、桜井奈緒は九条沙耶香を適当にあしらうために一度引き受けた話を思い出した。
その時は、高橋正人が来るはずがないと思っていたから、全く心配していなかった。
桜井奈緒は長い間黙ったままだった。それを見て、近藤夫人の目が一瞬光った。もしかして、自分の推測が当たっていたのか?
新しいプロジェクトなんて最初から存在せず、九条沙耶香が見栄を張るためにでっち上げた話だったのでは?
近藤夫人は皮肉っぽく唇を歪めて言った。「九条沙耶香さん、別に新しいプロジェクトがなくてもいいじゃない。悠真くんが奥さんに助けてもらえるだけでも十分よ。」
公衆の面前で皮肉を言われ、九条沙耶香の表情は一気に曇った。
彼女は拳を握りしめ、桜井奈緒を不満げに見つめ、早く話すように目で合図した。
「お母さん、何の話をしてるの?」九条悠真の声が響いた。
九条沙耶香が人を連れて桜井奈緒を囲んでいるのを見て、九条悠真は不安になり、様子を見にやってきた。その後ろから、高橋正人と九条蓮も一緒に歩いてきた。
桜井奈緒はそれを見て、抑えきれない動揺が目に浮かんだ。
今すぐにでも九条悠真と高橋正人を引き離さなければ。二人が一緒にいる時間が長くなればなるほど、自分の正体がバレるリスクが高まる!
でも、九条沙耶香がしつこく絡んできて、どうしても身動きが取れない。
三木雅人氏は九条蓮を知っているようだった。彼を見て目を見開き、思わず声を上げた。「あっ!ル……」
九条蓮が眉を上げて彼を見やると、三木雅人氏は何かに気づいたようだった。
東京での九条蓮は謎めいていて控えめな存在。自分の正体を知られるのを嫌い、写真も一切残していない。
これは、正体を公にしないようにという合図だった。
三木雅人氏は口調を変え、興奮気味に言った。「まさか、あなたもメゾン・ヴェルヌの新作発表会にいらしていたとは!」
メゾン・ヴェルヌは九条インターナショナル傘下のブランドだが、三木雅人氏は九条蓮が出席するとは思っていなかった。九条ホールディングスの事業は多岐にわたり、こんな小さな発表会に本人が関わる必要はないはずだと考えていた。
高橋美咲は高橋正人が近づいてくるのを見て、さらに不機嫌そうな顔になった。
高橋正人の顔を見ると、母のことや、かつて彼が義妹や継母を贔屓していたことが思い出される。でも、どんなに不満があっても、こんな場で高橋正人と口論して騒ぎを起こすつもりはなかった。
しかし、高橋正人は高橋美咲に冷たくされることにはとっくに慣れていた。
高橋正人は優しい眼差しで高橋美咲を見つめ、励ますように微笑んで言った。「美咲、今日の新作発表会は大成功だったよ。本当によくやったね。」
「ありがとうございます、高橋社長。」高橋美咲は冷ややかに答えた。
だが、その高橋美咲の態度が、九条沙耶香の不満をさらに煽った。
彼女も九条悠真も高橋正人に頼っているのに、どうして彼をぞんざいに扱わせておけるだろうか。高橋美咲は一体どんなつもりなのか。家柄も地位もない女が、高橋正人のような人物に冷たくする権利などあるはずがない。
九条沙耶香はすぐに騒ぎ立て始めた。
彼女は高橋美咲を鋭い目で睨みつけ、命令口調で言い放った。「高橋美咲、高橋社長に対してその口の利き方は何?今すぐ謝りなさい!」
You might also like




