Chapter 360
九条沙耶香はまさに比類なき栄光
「もうやめて。近藤夫人の顔色、見てごらんなさいよ。」
近藤夫人は九条沙耶香に完全に打ちのめされ、どうしても納得できなかった。
ふと思いついたように、彼女は鼻で笑って言った。「プロジェクトなんて、言えばすぐできるものじゃないでしょ?莫大な投資が必要なのは誰でも知ってるわ。高橋家が悠真くんのためにメゾン・ヴェルヌを立ち上げたけど、ああ…忘れてたわ。メゾン・ヴェルヌを実際に仕切ってるのは桜井奈緒さんよ。あなたの息子さんには全然関係ないじゃない。新しいプロジェクトなんて、どうせ実現しないわよ!」
以前、メゾン・ヴェルヌが設立されたと知ったとき、近藤夫人はわざわざ調べていた。
桜井奈緒が主導権を握っていることも知っていた。はっきり言えば、九条悠真は桜井奈緒のアシスタントに過ぎないのに、九条沙耶香はそれをあちこちで自慢しているのが滑稽だった。
だからこそ、今になって新しいプロジェクトを必死で立ち上げようとしているのだろう。
九条沙耶香の顔が曇り、鼻で笑った。「誰がプロジェクトができないなんて言ったのよ!」
九条沙耶香が感情をあらわにしているのを見て、近藤夫人は唇を冷たく歪めた。「もし高橋正人が本当にあなたの息子のために新しいプロジェクトを用意しているなら、どうしてまだ発表されていないのかしら?」
九条沙耶香は歯を食いしばった。「いいわ!誰も信じないなら、黙らせてやるわ。現実を見せてあげる!」
近藤夫人自身はそんな幸運に恵まれたこともないくせに、ここで皮肉ばかり言って、新しいプロジェクトなんてないとか、くだらないことまで言い出して。本当に嫉妬がすごくて、息が詰まりそう。もうすぐ、近藤夫人に自分がどれだけ滑稽か思い知らせてやる!
そう言い放つと、九条沙耶香は何人かのマダムたちを引き連れて桜井奈緒の方へ向かった。
その頃、高橋美咲は三木雅人氏との挨拶を終え、指輪がもう手元にないことを受け入れていた。
桜井奈緒の顔色はひどかった。高橋美咲をじっと見つめ、不満げに尋ねた。「高橋美咲、どうしてあなたがQueenなの?」
本当は、高橋美咲がこの身分を持っていながら、自分に一度も打ち明けてくれなかったことを責めていた。
桜井奈緒の沈んだ顔を見て、高橋美咲は皮肉っぽく唇を歪め、まるで質問の意味が分からないかのように言った。「何のこと?さっき私の正体を記者に話したのはあなたでしょ?まさか、Queenが私だって知らなかったの?」
高橋美咲の言葉を聞いた桜井奈緒の顔は、瞬時に青ざめたり赤くなったりした。
この女、高橋美咲!
きっと最初から全部知っていたくせに、自分がQueenの来場を宣伝するのを見て、陰で笑っていたに違いない!
高橋美咲は桜井奈緒の考えを見透かしたように、淡々と視線を向けて言った。「少し前、あなたがQueenが来るって噂を流した時、私はてっきり学生時代に偶然有名になったこの身分を、どこかで嗅ぎつけたのかと思った。でも、まさか私を笑い者にするための作戦だったなんてね。残念だけど、期待外れだったみたい。」
「でも、あまり怒らない方がいいわよ。女は怒るとすぐ老けるって言うし。ほら、もうシワが二本増えてる。気をつけないと、九条悠真に捨てられちゃうかもよ?」
その言葉に、桜井奈緒は今にも爆発しそうだった。
最後の拠り所も失われた。あちらでは九条悠真がまだ高橋正人と一緒にいるが、それもいつまで続くか分からない。もし自分が高橋家の娘だとバレたら……
桜井奈緒の顔はすでに血の気が引き、腹部に鈍い痛みまで感じていた。
最近忙しすぎたせいか、生理も数日遅れている。
ここまで努力してきたのに、最後の最後で全部崩れるなんて絶対に嫌だった。
You might also like




