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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 346 - 高橋美咲の求婚者(続き)

Chapter 346

高橋美咲の求婚者(続き)

高橋正人がどう騙されたかはどうでもいいが、自分の女に辛い思いをさせたことは許せなかった。

この借りはきっちり返してもらうつもりだった。

二十分後、高橋正人は真壁直人に連れられてホテルの応接室に現れた。

最初、九条インターナショナルの九条さんに呼び出されたと聞いた時は、若造が随分と横柄な真似をするものだと思っていた。

だが、九条蓮の姿を目にした瞬間、高橋正人は自分が彼を見くびっていたかもしれないと感じた。

広々とした会議室で、九条蓮は黒いスーツに身を包み、気品と風格を漂わせていた。よく見ると、彼の着ているものはどれも高級ブランドではないが、その全てを引き立てているのは彼自身の持つ雰囲気だった。

高橋正人と九条蓮の視線がぶつかり、目に見えない火花が空中で激しく交錯した。

「九条さん」高橋正人は低い声で言い、九条蓮の正面の椅子に腰を下ろした。

目の前の九条蓮を見つめながら、その眉や目元にどこか見覚えのある影を感じた。心の奥底にしまい込んでいた、思い出したくない何かが静かに浮かび上がる。

高橋正人の表情が引き締まり、目が鋭くなった。「俺に会って、何を言いたいんだ?」

九条蓮は淡々と言った。「高橋さん、ある言葉をご存知ですか?」

高橋正人の意識が現実に引き戻され、目を細めた。「何の言葉だ?」

九条蓮は冷たく笑った。「「虎の威を借る狐」というやつです」.

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桜井奈緒は長い間、高橋家の大切な娘として皆の上に君臨してきたが、それは高橋正人の功績によるところが大きかった。

この件の真相を突き止めなかったのは、まさに彼の責任だった。

高橋正人は、九条蓮の不可解な言葉の意味がよく分からなかった。そもそもなぜ自分がここに呼ばれたのかも分からない。ただ侮辱するためなのか?

九条蓮に付き合っている暇などなかった。新商品の発表会がまもなく始まるのだ。

今すぐ会場に向かわなければならない。高橋美咲が彼を待っている。

高橋正人が立ち去ろうとしたその時、九条蓮が低い声で言った。「当時、あなたと相沢家の結婚は理想的な縁組でした。本来なら高橋恵と甘い時間を過ごせたはずです。でもその後、あなたは裏切り、高橋美咲はあなたと共に大きな苦しみを味わい、今では顔を合わせれば憎しみ合うようになってしまった……」

その言葉を聞いた高橋正人の表情は一気に険しくなり、鋭い光を目に宿して、目の前の生意気な若者を睨みつけた。

まさか九条蓮が自分の過去を調べていたとは思わなかった。何を企んでいるのか?

メゾン・ヴェルヌと高橋グループの提携を口実に、さらなる利益を引き出そうとしているのか?

九条蓮は高橋正人の険しい顔を見ても、まったく悪びれる様子もなく続けた。「少し前、あなたの娘があなたに頼みごとをして、九条インターナショナルで新ブランドを立ち上げてほしいと願い出ましたね。あなたはその願いを受け入れ、九条インターナショナルと高橋グループが協力してメゾン・ヴェルヌを立ち上げた。」

「ここまで話したのは、これを伝えるためです。これからは、しっかり目を開いていてください。愚かにも誰かに利用されるような真似はしないことです。」

高橋正人は、これほどまでに面と向かって叱責されたことはなかった。それなのに九条蓮は、年下でありながら堂々とこんな口をきくとは、まったくもって傲慢極まりない!

だが、その言葉は……

高橋正人は目を細めた。「どういう意味だ?」

九条蓮は続けた。「あなたに頼みごとをしたのは、高橋美咲ではありません。」

その言葉を聞いた高橋正人の顔色はさらに険しくなった。九条蓮の言いたいことがまったく分からない。頼みごとをしたのが高橋美咲ではないとは、どういうことだ?