Chapter 343
新作発表会(続き)
そんな彼女を見て、高橋美咲は笑い、「Queenが来たら、私の立場がなくなって、あなたも一緒に苦労することになるんじゃないかって心配してるの?」と言った。
森川茉莉は最初うなずき、すぐに首をぶんぶん振った。「苦労するのは心配じゃありません。ただ、高橋マネージャーのことが心配で……」
高橋美咲はその気持ちを理解し、優しく「大丈夫。Queenが私を追い出すことはないわ」と言った。
なぜなら、Queenは自分自身なのだから。自分で自分の立場を奪うはずがない。
森川茉莉は、高橋美咲がどこからその自信を得ているのか分からなかったが、彼女のそんな様子を見ていると、不安で落ち着かなかった気持ちが少し和らいだ。
「高橋取締役、私たちも外に出て見てみませんか?本当にあのQueenが来ていたらどうします?」
それを聞いて、高橋美咲は考え込んだ表情を浮かべた。
実際、少し興味があった。Queenが発表会に来ると大々的に宣伝していたが、いざとなったらどこからQueenを連れてくるつもりなのか。
誰かにQueenのふりをさせるつもりなのだろうか?
もしそうなら、面白いことになりそうだ。しっかり見届けなければ。
「行きましょう。」
そう言って、高橋美咲と森川茉莉は一緒に外へ向かった。
多目的ホールは熱気に包まれていた。この日、九条悠真はパリッとしたスーツに身を包み、髪をきっちりと撫でつけて額を全て出し、凛々しく華やかな雰囲気を漂わせていた。
片手をポケットに入れ、もう一方の手でシャンパンを持ちながら、集まった財界の重鎮たちと応対し、満足げな表情で、全身から自信に満ちたオーラを放っていた。
一方、桜井奈緒と九条沙耶香は、社交界の富裕層の奥様方と談笑しながら、メゾン・ヴェルヌの新作を紹介していた。
これらの富裕層の女性たちは今後の有力な顧客候補なので、今のうちに好印象を与えておく必要があった。
前回の桜井奈緒の婚約披露宴では大きな騒動が起きた。桜井奈緒はあれは偽物だと言っていたが、早く帰った人たちの中には誤解したままの者も多かった。
特に九条沙耶香の宿敵である近藤家は、ここぞとばかりに皮肉を言い続けていた。
近藤夫人の息子は九条悠真と同じくらいの年齢で、やはり家業を手伝っている。近藤夫人は常に九条沙耶香と張り合い、息子を九条悠真と比べてばかりいた。
九条沙耶香の一件の後、近藤夫人は慰めるふりをして、実は皮肉を込めて九条沙耶香をあざ笑っていた。
その後、桜井奈緒が九条インターナショナルでメゾン・ヴェルヌを立ち上げたと知り、さらに彼女が高橋家の娘だと分かってから、近藤夫人もようやく静かになった。
九条沙耶香が意図的に大げさに宣伝したおかげで、皆も桜井奈緒のもう一つの隠された素性——高橋家の娘であることを知るようになった。
以前の婚約披露宴での出来事については、誰もが口をつぐみ、まるで何もなかったかのように振る舞っていた。
桜井奈緒が以前、九条悠真のために独立ブランドを立ち上げると約束していたこと、そして後で高橋正人が来ればそれが現実になることを思い出し、九条沙耶香の目には満足げな色が浮かんだ。息子はこれからますます成功していくのだ。
ふと、彼女の視線が奥の控室から出てくる一人の姿に止まり、九条沙耶香は心の中で軽蔑のため息をついた。あの時、九条悠真に高橋美咲を捨てさせて本当に良かった。あんな貧乏で何も持たず、ただ足を引っ張るだけの女。
もしあのままだったら、九条悠真は今も九条蓮の下で、彼の機嫌次第で振り回されていたに違いない。
今や九条悠真は義父の力を借りて、状況を一変させようとしている!
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