Chapter 342
新作発表会
帝国グランドホテルの夜空には、星がきらめいていた。セレブたちが続々と集まり、招待された東京の名家の若き令嬢や資産家の奥様たちも多数来場していた。
そのイベントの規模は、かつて九条悠真と桜井奈緒が開いた婚約披露宴にも匹敵するほどだった。
九条インターナショナルは、今回の新作発表会を通じてメゾン・ヴェルヌのブランド名を広く世に知らしめようとしているのは明らかだった。
東京の名門である佐伯家の佐伯葉月と佐伯大輔も、招待を受けて会場に姿を見せていた。
佐伯葉月はミルクホワイトのサテン地のキャミソールドレスを身にまとい、その完璧なプロポーションを余すところなく引き立てていた。気品と優雅さを漂わせ、多くの視線を集めていた。
彼女はこうした注目を受けることにはすっかり慣れていた。高貴な誇りを胸に、顎を高く上げて歩く姿は、まるで誇り高き白鳥のようだった。
会場に入ると、佐伯葉月はゆっくりと周囲を見渡した。
今日、九条蓮は来るのだろうかと彼女は思った。何しろ、これは彼の会社が所有するブランドのイベントだ。これほど重要な場なら、本人が直接仕切るのが当然ではないか。
しばらく探してみたものの、佐伯葉月が会いたい人物の姿は見当たらず、少し落胆せずにはいられなかった。
だが、よく考えてみれば、九条蓮が来ない可能性も十分にあると察した。
彼があれほど神秘的な存在でいられるのは、こうした公の場にほとんど姿を現さないからこそだ。もし頻繁に出ていれば、すでに写真が世間に溢れているはずだ。
会場にはすでに多くの記者たちが詰めかけていた。この新作発表会はすでに話題となり、数多くのプロモーションアカウントが拡散していた。これまでにないほどの盛り上がりだった。
さらに、Queenが来場するというニュースが流れたことで、業界関係者の注目度も一層高まっていた。
その頃、高橋美咲は控室で、まもなく登場するモデルたちのジュエリーやアクセサリーのチェックをしていた。
今日はランウェイショーもあり、展示されるのはすべてメゾン・ヴェルヌのデザイナーたちが最近手がけた最新作だ。デザインディレクターとして、最後まで全てを見届ける責任があった。
アシスタントの森川茉莉は、何度も控室と外を行き来し、落ち着かない様子だった。
高橋美咲がQueenの件を気にしていないと言っても、森川茉莉は高橋美咲のアシスタントであり、彼女の今後の立場は自分にも大きく関わってくる。
だからこそ、真剣にならざるを得なかった。
一体いつQueenは現れるのだろうか。
その時、柳小路や他のデザイナーたちも自分のデザインを確認しに控室へ入ってきた。
控室は一気に賑やかになった。
柳小路は高橋美咲を一瞥し、皮肉っぽく微笑んで言った。「高橋美咲、今、桜井部長が外でインタビューを受けてるわよ。Queenはもう会場に到着したって。」
高橋美咲は相変わらず自分の作業に没頭し、柳小路に目もくれなかった。
柳小路の隣にいた、彼女と親しいデザイナーもクスクスと笑った。
「片付けが終わったら、Queenを見に行こうよ。」
「本当にQueenってどんな人なのか気になるよね。」
高橋美咲が黙ったままなのを見て、柳小路はすっかり打撃を与えたつもりになり、口元を嬉しそうに吊り上げた。
ちっ、これは本当に痛快だわ!
やがて、メゾン・ヴェルヌのデザイナーたちは慌ただしく控室を出て行った。
控室は一気に静まり返った。
森川茉莉は焦りでいっぱいだった。外の様子を見に行きたいが、高橋美咲のサポートも必要だ。
高橋美咲はそんな森川茉莉の様子に気づき、「森川さん、どうしたの?」と声をかけた。
「高橋マネージャー、私……」
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