Chapter 335
ついでに、義父にも会っておこう
九条凛は憤然とした様子で言った。「でも、これってつまり……桜井奈緒が高橋美咲の身分を騙って、あちこちでハッタリかまして人を騙してたってことじゃない?本当に最低!絶対に暴いてやる!」
高橋美咲が高橋家の娘だと分かった今、偽の高橋家令嬢である桜井奈緒も暴かれるべきだった。
高橋家の娘という身分を利用して、桜井奈緒は九条インターナショナルで莫大な利益を得て、さらにメゾン・ヴェルヌのブランドマネージャーにまでなり、高橋美咲を長い間見下してきたのだ。
もし高橋美咲が桜井奈緒が高橋家の娘だと知ったら、精神的にプレッシャーを感じるかもしれないと思い、九条凛は今まで高橋美咲にそのことを話す勇気がなかった。だが、実は本物の高橋家令嬢は高橋美咲だったなんて——
こんなの、到底我慢できない!
九条凛自身も森川佳鈴に成りすまされたばかりだったので、こういう行為には心底嫌悪感を抱いていた。
桜井奈緒のしたことを知った九条凛は、今すぐにでも彼女の悪事を全部暴いて、世間に知らしめてやりたい気持ちでいっぱいだった。
考えれば考えるほど腹が立ち、九条凛は歯ぎしりしながら不満げに言った。「あの女、高橋美咲が家族と仲が悪いのをいいことに、堂々と高橋家の娘になりすましてたんだよ。もう正体を暴いてやって、高橋美咲の身分を偽ってたことを公にしてやろうよ!そうすれば、もう逃げられないでしょ!」
「ダメだ。」九条蓮は、短く二言だけ口にした。
「なんで?」
九条凛には、兄の九条蓮が桜井奈緒のような白い花ぶりっ子を暴くのを止める理由が分からなかった。桜井奈緒は高橋美咲の身分を使って、あれだけのことをしてきたのだ。このまま見逃すつもりなのか?
でも、九条凛が知る限り、兄は自分の身内がいじめられるのを黙って見ているような人じゃない。
普段はクールだけど、身内にはとことん甘いのだ。
そして、九条蓮に逆らって報復されるのは、普通の人間には到底耐えられないことだった。
九条凛が不思議そうな顔をしているのを見て、九条蓮は優しく説明した。「高橋正人をメゾン・ヴェルヌの新作発表会に招待した。」
その時になれば、この偽令嬢・桜井奈緒は終わりだ。
ついでに、義父にも会うつもりだった。
九条凛は親指を立てて、思わず兄を褒めた。「さすが兄さん、やっぱりすごい!じゃあ、私は高みの見物を楽しみにしてる!」
九条凛の言葉を聞いて、九条蓮は何かを思い出したようだった。
彼はスマートフォンを取り出し、真壁直人に電話をかけた。
兄が急に黙り込んで目の前で電話をかけ始めたので、九条凛は誰にかけているのか気になって身を乗り出した。
電話がつながり、真壁直人の声が聞こえた。「九条様。」
「柏木健人を何か理由をつけて解放しろ。そして、復讐したいなら本当に自分を陥れた相手に行けと伝えろ。」九条蓮はゆっくりと言い、目には冷たく危険な光が宿った。
「かしこまりました。」
九条蓮はそのまま電話を切った。
その時、ふと柏木健人のことを思い出したのだ。
以前、柏木健人は高橋美咲に手を出そうとし、後に九条蓮が彼を監禁していた。その背後にいたのは桜井奈緒だった。
本来なら、桜井奈緒と九条悠真の結婚式で大きなサプライズを用意するつもりだったが、今は考えを変えた。
自分の女がいじめられているのを黙って見ていられるはずがない。だからこそ、彼女のためにこの怒りを晴らしてやるのだ。
九条凛も以前の柏木健人の件は知っていた。九条蓮が柏木健人を解放するつもりだと聞いて、思わず拍手したくなった。
九条蓮はもう長い間、柏木健人を監禁していたはずだ。
柏木健人が兄に仕返しに来るはずもなく、当然、本当に自分を陥れた相手に向かうだろう。
もうすでに新作発表会がどれだけ賑やかになるか、想像できてしまう。
ほらね、身内に甘い兄が黙っているはずがない!
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